◆なぜ自動車用電球製造メーカーが“きのこ”を?

自動車用電球製造メーカーと“きのこ”…と考えると、ぱっと共通点は思いつきません。なぜきのこの開発に至ったのでしょうか?

大井川電機製作所の代表取締役である佐々木孝行氏にお話を伺いました。

ホホホタケ
大井川電気製作所の代表取締役の佐々木孝行氏
「大井川電機製作所では、車のウィンカーやライセンスランプなどのウェッジ球という電球を主力として生産してきたのですが、LED化に伴って、2013年頃から売上が減少傾向にありました。そこで新規事業への参入を検討した結果、“はなびらたけの栽培”という案に至ったのです」(以下、カギカッコ「」内佐々木氏)

大井川電気製作所
大井川電気製作所で作られている電球
なぜ「はなびらたけ」だったのでしょうか?

「はなびらたけは繊細なきのこなので、栽培するためには湿度、温度、二酸化炭素の量など、きのこの成長の様子を見ながら細かい管理が必要になります。

ホホホタケ
ホホホタケを管理している様子
このような品質管理が重要である点が、電球を作る際の技術に似ていたのです。車に使う電球ですから、毎月何百万と生産するのですが、その中の一個でも欠陥があると大変なことになります。

そのため注意深い観察ときめ細かな調整を行うことが必須です。その取り組み方や考え方が、はなびらたけの栽培に活かせると思ったのです」

大井川製作所
電球を作っている工場の様子