偽りの教師として教壇に立つという大罪を犯した南雲。事件が検察に送致され、その処分が下されるところから第6話は始まった。結果は不起訴。南雲が自首し罪を深く反省していることに加えて、越山高校野球部や卒業生、地域の人たちから寄せられた嘆願書が不起訴を後押ししたのだろう。世間の目や学内の目もあったはずだ。そのなかでも自分たちの意思で嘆願書を集めた生徒たちの熱意に南雲だけでなく筆者の目頭も熱くなった。

 南雲は自身が手を染めた悪事を悔い改めるあまり、終始元気がない。悪評が広まる地域では就職活動は難航し、妻・美香(井川遥)の元夫である小柳(大倉孝二)からは嫌味を浴びせられる始末。大きな背中を縮めて生活する南雲だったが、その背中を強く押したのはかつて手を焼いていた越山高校野球部員たちだった。

 舞台は2017年に開催された夏の三重県予選。1回戦の相手は、昨年大会ベスト8の五十鈴高校。地力の高さに加えて、現監督の山住(黒木華)にまつわるデマを吹き込む五十鈴高校野球部員・椎野(松本怜生)の存在もあり、越山高校は序盤劣勢に立たされる。それを打開したのは、椿谷(伊藤あさひ)の分析眼だった。南雲顔負けの観察力で相手ピッチャー・椎野のクセを見抜き、球種をあらかじめ特定することに成功し一転攻勢を仕掛ける。諦めずに攻略の糸口を見出した部員の姿に、球場通路でこっそり観戦していた南雲も思わず観客席に飛び出し静かに喜びを嚙み締める。それに気づいた越山高校野球部員は、人目をはばからず南雲に声をかけ、それに南雲も拳をかかげて応える。南雲は吹っ切れた様子を見せ、スタンドで観戦するようになり、過去を清算したうえであらためて部員たちと向き合う覚悟が伝わってきた。

 見事1回戦を突破した越山高校野球部員は、南雲に監督として戻ってくるよう訴えた。次回第7話では南雲が復帰するストーリーが描かれることだろう。大きな障壁となるのは、越山高校の校長・丹羽(小泉孝太郎)と犬塚(小日向文世)だ。障壁というのは語弊がある。なぜなら両名ともに、学校と野球部員のことを思い尽力する善人だからだ。その立場ゆえに、世間から南雲に厳しい視線が送られるなか、部員の声だけを聞いておいそれと復帰させるはずはない。南雲はこの2人の期待を裏切ったのである。真の贖罪を果たさない限り南雲の監督就任は実現しないだけに、どのようにしてこの壁を乗り越えるのか見ものである。