「中学受験に失敗したのよ。」
子どもの不合格を「失敗」と呼ぶ人は多いですが、実は「不合格」は失敗ではありません。
中学受験の「失敗」は、不合格なんかよりずっと悲惨で辛いまさに地獄。中学受験を通し、その後の人生を左右するほど立ち直れなくなる子もいます。
今回は、中学受験に挑むご家族が後悔なく2月を笑顔で迎えるために、親ができる6つのサポートを詳しくお伝えしていきます。
- 中学受験の「本当の失敗」とは?
- 不合格体験記とその後
- 心身共に健康に中学受験を乗り越えるにはどうすればいいのか?
など、【中学受験をする子の心のサポート】について一緒に勉強してみましょう。
1.中学受験の「不合格=失敗」ではない3つの理由
志望校に不合格だったとしても「失敗」ではない!?その理由を詳しくみていきましょう。
(1)中学受験は「通過点」に過ぎない
「中学受験」は人生のほんの通過点にすぎません。
多くの親は、より良い環境を求めて子どもに中学受験を提案しますよね。「将来困らないように今のうちに勉強をして欲しい。」「健全な校風の中で素晴らしい青春時代を送ってほしい。」親は皆【子どもの幸せ】を切に願って中学受験に挑戦しています。
では、第一志望に合格できなかったら、その【幸せ】は全て消えてしまうのでしょうか?そんなことはありませんよね。
第一志望に落ちたとしても、その経験は全て子どもの財産になります。不合格という事実を受け入れ、新しい目標を設定してまた頑張ることができれば、一回りも二回りも成長することができるのです。
(2)不合格をばねに飛躍を遂げるケースもある
不合格という現実を受け入れた後、大きな飛躍を遂げる子も大勢います!
私の知り合いのお子さんに、中学受験全落ちから大きな飛躍を遂げたA君という男の子がいます。彼の場合、中学受験を決意したのが小6の4月。親に言われたわけではなく、自分で「受けたい!」と思い中学受験に挑戦したのですが、流石に時間が足りず受験校全てが不合格という結果に終わりました。
悔しい気持ちをバネに公立中学に進んだA君は、部活にも入らず3年間勉強に打ち込みました。学校の先生に積極的に質問に行ったり、問題集を自ら買いに行ったり、お母さんから見ても「どうしちゃったんだろう?」というくらい勉強をしていたそうです。
その結果、見事地元のトップ公立高校に合格!その後も勉強を続け、現在は国立大学の医学部に通っているそうです。
A君は、不合格から「自らの足」で立ち上がり「自らの意志」で勉強を続けるという貴重な経験を、「中学受験全落ち」から得ることができました。不合格をばねに大きな飛躍を遂げたA君の話を聞くと【中学受験は合格が全てではない】ということがよく分りますね。
(3)合否ではなく「中学受験そのもの」が糧
中学受験は、経験した者しか得られない体験を与えてくれる、「エンターテイメント」のようなものです。
子どもと中学受験生活をしていると、実に様々な「ドラマ」に遭遇します。成績が上がらず辛くしんどい思いをしたかと思えば、成績が急上昇したり。順調に勉強が進んでいるかと思えば、中だるみが原因で親子で大げんかをしたり。時には夫婦の意見が合わず、深夜まで話し合ったりすることもあるでしょう。
例えるなら、【中学受験がなければ絶対に見られないドラマ】を、数年間に渡って見ているような感覚です!
このドラマの終わり、つまり中学受験を完走した時に、子どもや家族の関係にどんな変化が起きているのか?2025年中学受験組の私にはまだ分かりません。でも、「中学受験」という行為そのものが、子どもや親にとってとてつもなく大きな学びであることは間違いないと実感しています。
塾の先生や友達との出会い、一生懸命努力することの素晴らしさ、失敗を受け入れまた立ち上がることの大切さなど、沢山の貴重な経験を中学受験から学ぶことができるでしょう。
中学受験の不合格は「失敗」ではないことがお分かり頂けたでしょうか?不合格が失敗ではないなら、一体何が「中学受験の本当の失敗」なのか?2つの実話をもとにひも解いていきましょう。
2.【実話】中学受験「本当の」失敗と不合格体験記
(1)親子関係が壊れ引きこもりになったAさん
私の中学受験は「親の言いなり」という言葉がピッタリ。親に言われるがまま進学塾に入り、親が完璧にスケジューリングした家庭学習をこなす毎日を続けました。
でも、本当は私立中学なんて行きたくもなかったんです…。私の地元では、中学受験はさほど盛んではありません。仲のよい子達も全員地元の中学に行くので、私だけ違う進路に進むのが不安でたまりませんでした。
そこで思い切って、小6の夏に「受験したくない。」と母親に打ち明けたんです。でも、「何言ってんの!?」「せっかくここまで頑張ってきたのに、アホなこと言わないで!」ときつく叱られ、相手にしてもらえませんでした。これ以上言い返すこともできず、言われるがままに私立中学に進学しました。
でも、自分の意志とは裏腹な行動をしているので、毎日が本当につまらなくて…。友達もできず不登校になってしまったんです。そこからは本当に地獄のような日々でしたよ。親は私が不登校という事実が受け入れられず、夫婦で泣き叫んでいました。私は自分の部屋に閉じこもり、カーテンも開けず一日中ベッドで過ごす日々がしばらく続きました。
そんなある日、両親が私を心療内科に連れていきましいた。しぶしぶ行った病院でしたが、これが大きな転機に。医者が私へ質問しているのに、いつもの調子で母が答えてしまうんですよね。すると先生が、「私は娘さんに聞いているんです。お母さんは黙って下さい。」と一言。母はこの一言が堪えたようで、それ以来私の意見を尊重してくれるようになりました。後から聞いた話ですが、医師が「娘さんがこうなったのは、あなたにも原因があります。」と、母にハッキリ言ってくれたようでした。
信頼できる医師のおかげで、中学受験の沼底から這いあがることができた私は、大検を受けて大学に合格。今は法律事務所でパラリーガルとして働いています!
これから中学受験をする子の親に伝えたいのは「とにかく子どもの話を聞いてあげて!」ということ。それだけです。
- ポイント!
- 子どもの意見を無視した受験は論外。「中学受験は親の受験」と言われるが、その意味をはき違えてはいけない!子ども主導で親はサポート役に徹しよう。
(2)親の威圧感に耐えられなかったBくん
二月の勝者で「中学受験は父親の経済力、母親の狂気」という言葉がありますが、この言葉を聞いた時、「あ、僕のお母さんのことだ。」と思いました。
僕の母親は、まさに「狂気」。偏差値や順位、クラス分けにとらわれて、僕に度々罵声を浴びせていました。「こんな問題がなんでできないの!?バカなの!?」「また〇〇クラスか。ほんとあなたはダメな子だね。」など、人格否定は日常茶飯事。酷い時にはお茶碗が飛んできたり、お皿に入ったおかずが飛んできたこともありましたね…。
そんな状態で迎えた6年生の夏。僕の心と体はついに悲鳴をあげました。頻尿になり、テストを受けている最中に何度もトイレに行くような状態になってしまったんです。
その様子を塾からの連絡で初めて知った母は、うろたえたと思います。先生と何度も面談し、結局塾は辞めて心を休める選択ができたのは、不幸中の幸いでした。
僕にとって、中学受験の記憶は思い出したくないほど辛いものです。
- ポイント!
- 中学受験が「教育虐待」になるのは、絶対にあってはならない事!子どもの心が壊れる前に、親自身が自分を見つめ直す機会を設けよう。