旅館では、女将とみられる女性が受付で「次にご入浴は5:00~23;00までになります」「ご夕食は18:00にお部屋にお持ちいたしますので、必ず21;00までに食べ終えてくださいませ」「朝食は7:00から10:00まで、ラストオーダーは9:30。8:00ごろは大変混み合います」「チェックアウトは朝10:00、こちらが部屋の鍵になります」と早口でまくしたて、カップルは困惑の表情に。そこに「せっかくの休みなのに、まったくゆっくりできないとき」とナレーションが入り、ヒルトン系列のホテルの中でも上級ブランドであるコンラッドホテルに場面が切り替わる。

 どこかこぢんまりとしていた旅館から一変。夜景がのぞめる豪華で広々としたラウンジで先ほどの男女がくつろぎ、写真を撮って盛り上がっているところにホテルマンが「ごゆっくりされるならディナーの時間をずらしますよ」と柔軟に提案。男女が「いいんですか!」と感動の声を上げ、「とまるところで、旅は変わる」というナレーションと共に動画は終了する。

 これに対して、ネット上で「旅館は融通きかなくて、ホテルは顧客に寄り添うみたいな演出が悪質すぎる……」「気分悪くなった。ヒルトンって世界的企業なのに旅館を落とさないとPRできないの?」「これにOK出すってことは、ヒルトンは日本人や日本文化馬鹿にしてるんだろうな」「レストランで食べるホテルと部屋に食事持ってきてくれる旅館を比較しても意味がないし、宿泊価格も全然違うでしょ」などと批判的な意見が続出。旅館業を営んでいるという人たちからも「ただのルール説明なのに旅館はサービスレベルが低いみたいに見せてるのはホントに悪質だし、イチ旅館オーナーとして遺憾に思います」などと抗議のコメントが寄せられ、炎上状態となった。

 単にヒルトングループのホスピタリティをアピールするだけなら問題なかっただろうが、まるで旅館はサービスの質が低く、くつろげない場所であるかのように描かれたことで反発が大きくなったようだ。また、旅館のシーンでは照明が切れかけてチカチカと点滅しているなど、豪華なコンラッドホテルと比較するための「過剰演出」が見受けられ、それも印象を悪くする要因となった。