ここまででもっとも展開を楽しみにしていた「入れ替わったスマホ」も有機的に機能してましたし、中谷美紀や江口洋介の歩いてる顔面アップをクロスカットするとこなんか、単純にカッコいいもんね。ニノが監禁されてた場所の照明も決まってるし、ニセ料理人見習いとして洋食屋に潜入することになった中川大志も、段取りはむちゃくちゃだけど見習いになりきってる姿はかわいいし。あと謎の女が実は警視庁の人間だったというバラシも、振りが効いてないからそれによってどういうことが起こりそうなのかという予想こそできないものの、なんかテレビ見ながら「そうだったのか!」とか言っとけば気分が乗ってきます。
あいかわらず洋食屋の面々はシェフを筆頭に人格破綻者ばかりで、見れば見るほど恐怖を感じるし、イライラも募るところではありますが、大沢たかおも休養期間を経てよく帰ってきたなぁとか、そういうふうに考えればもう、たかおが体に力を入れてセリフをしゃべってるだけでいいじゃないかと思えてくる。
もともと3人の主人公と3つのシチュエーションが並行して始まって、それが後半に向けて絡み合っていくという複雑な構成があって、そのうちのメイン主人公であるニノが記憶喪失な上に「スグロジ・セイジ」「アマギ・ユウタ」という2つの名前があるという複雑な設定を重ねたのがこの複雑なドラマの問題点を複雑にしていて、見ていて複雑な気分になるところですが、ともあれ挑戦的なドラマであることは間違いない。クリエイターが挑戦的であることを批判するのも大人げないよなぁという気もするしね。複雑であることに美徳を求めた作品に「シンプルであれよ!」というのも違うし。あと、害がないのもいい。無意識に世間に毒を振りまくドラマってありますもんね。『ONE DAY』は害がない。素晴らしい。失敗は失敗として、今後の糧にしてほしいところです。
次回も冒頭のナレーションを聞き逃さないよう、集中して見たいと思います!
(文=新越谷ノリヲ)