冒頭、約2分にわたって前回までのストーリーの説明がナレーションで入ります。例えば、前回のシェフパートで「仕事の手を止めて、まるでそれこそコロッケ屋のパートのおばちゃんたちみたいに、他愛もない痴話に花を咲かせている」とレビューした場面は、このナレーションによると実は「(シェフとスタッフの)それぞれに思い人がいることを知る」ということを視聴者に知らしめる重要なシークエンスだったようです。そうだったのか。全然気づかなかった。

 いよいよ『ONE DAY』というドラマは、脚本と演出で物語を伝えることを放棄しました。もうちゃんとできないよーと匙を投げた上で、画面ではそれっぽいシーンをつなげて、それっぽく見せる。ニノちゃんをカッコよく撮る。それだけやっといて、また来週、冒頭のナレーションでストーリーを説明してあげればいい。そういう方向に舵を切ったようです。

 そんなドラマを見た記憶はあんまりないけれど、それならそれでまあいいかなと思い始めました。今週も、細かいお話のつながりはよくわからなくても、大局として何が起こっているのかは見えてきました。

 お話としては、第1話の冒頭で起こった殺人事件について、「誰が殺したか」「なぜ殺したか」にようやくフォーカスしてきました。ニノか、江口か、はたまた中川大志による差し金なのか。それだけに注目してほかのことを意識から追い出してしまえば、それなりに楽しいミステリーがあります。ドラマなんて筋立てがしっかりしてなきゃいけないなんてことはなくて、人が死んでれば見てる側はそれなりにテンションが上がりますし、画面で素敵な役者が素敵な芝居してりゃ幸せな気分になってくるものです。