長田はこの企画で、金を出すこともあれば出さないこともある。若手芸人が、いかに長田を説得するかというのがこの企画の醍醐味なのだが、結論から言って、谷は70万円を持って帰ることになる。当初の目的だった「父親に会うため」は、いつの間にか「引っ越し資金」にすり替わったが、クライマックスで長田とじろうが「すごいですね」「すごいよ」「彼に惚れました」「感動しました」と繰り返す様子は、谷の話術と人間としての魅力を証明するものだった。チョコプラ長田とシソンヌじろうである。そんなに簡単に人に惚れたり感動したりするような芸人ではない。
さらに、この動画には続きがある。70万円を受け取った谷が引っ越しをせず、まだホテル暮らしを続けているという疑惑が持ち上がるのだ。「マネーのクズ」には、相談した目的以外の使い道で金を使った場合、返済しなければならないという掟がある。
長田は谷を呼び出し、疑惑を追及する。その様子が、「マネーのクズ【特別編】~谷の言い分~」という動画に収められている。ここでも長田を含む共演者は谷の話術に翻弄され、笑いながら頭を抱えるしかなくなる。
どんな形かはわからないが、パンポテ・谷という名前が日本中に知れ渡る日も遠くないだろう。こんなクズがもてはやされる社会がいい社会だとも思わないが、何しろめっぽう面白いのだから、仕方がない。
(文=新越谷ノリヲ)