◆ママたちが静観する理由

引き金を引いたのは「ママ友LINE」
――ゆむいさんが今回ママ友トラブルをテーマに描こうと思ったのはなぜだったのでしょうか。

ゆむい:私自身ママ友トラブルを体験したことがあったんです。その時の小ネタを織り交ぜたり、友人や編集者さんたちなど周りの人の話を参考に想像を膨らませて描きました。

――今回の作品づくりで意識したポイントはありますか?

ゆむい:群像劇のような登場人物たちのやりとりがメインなので、4人のママたちのキャラクターの書き分けを頑張りました。奇抜な人が出てくるわけではないので、みなさんの周りにもいそうな感じになっているかなと思います。4人の中では西井さんが一番描きやすかったです(笑)。

――副題の「母たちは静観する」という言葉が印象的でした。

ゆむい:そのフレーズが印象に残った出来事があったんです。うちの子たちがもっと小さかった頃、他の保護者同士で何やら深刻なトラブルが起きていると聞きました。

 片方の親が周りを巻き込もうとしていたのですが、どの情報が正確なのかもわからないし、正直怖いし、どう反応していいのか困っていたところ、別の保護者が「静観するしかないよね」と言っていました。確かに自分にできることってほぼ無いなと。

「力になってあげたいな」という気持ちがあっても、仲裁するにはかなりのコミュ力が必要だし、下手な関わり方をしたら、自分の子供に飛び火する可能性もあるし……とても難しいと感じた出来事でした。

【ゆむい】

漫画家、ブロガー。家族や犬との日々を記録した漫画ブログ「ゆむいhPa」を運営。著書に『夫の扶養からぬけだしたい』『親になったの私だけ!?』『ママはパパがこわいの?夫の扶養からぬけだしたい~ゆうかの場合~』(いずれもKADOKAWA)など幅広く活躍中。

<取材・文/都田ミツコ>

【都田ミツコ】

ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。