生成AIによるフェイク情報は真偽を見分けるのが難しいレベルになっており、TBSは5日に放送した情報番組『サンデーモーニング』で、イスラム組織「ハマス」の幹部をめぐってネット上で拡散された画像について「生成AIで作られたフェイク画像」と伝えていた。しかし、この画像は現在のような生成AIが誕生していない2014年以前からネット上で出回っていた可能性が高く、番組公式サイトで「よってこれらの画像は近年普及が進む『生成AI』を使って作られた画像ではないものと考えられます。『生成AIでつくられたフェイク画像』とお伝えしたのは誤りでした」と訂正した。
また、番組では「灰にまみれたパレスチナの子どもたち」とされる画像についても「生成AIが作ったもの」と伝えていたが、現段階で「生成AIが作った」と断定できる根拠はなく、こちらも「断定した表現は誤りでした」と訂正している。
先日は、岸田文雄首相がニュース番組でみだらな発言をしているように見せかけたフェイク動画がSNSなどで拡散され、ニュース映像を加工された日本テレビが「看過できない」「然るべき対応をしております」などと憤りのコメントを発表したことが話題になった。投稿した20代の男性はSNSで自分が作ったものだと名乗り出ており、わずか1時間ほどで作った動画で「軽い冗談のつもりだった」という。
問題の動画は内容が荒唐無稽で映像やイントネーションなどに違和感もあったのですぐにフェイクだと気づいた人は多かったが、パッと見は実際のアナウンサーや岸田首相が話しているかのように見える。たった1時間で作ったものがこのレベルであれば、プロ並みの技術を持った悪意ある人物が時間を十分にかけて制作すれば、もっと精巧な映像ができるのではと危惧される。
生成AIは爆破的なスピードで進化していくとみられ、今後は芸能から政治まであらゆる分野において、フェイク情報が蔓延する世界になっていきそうだ。