4年越しの出会いの時間は、淡々と過ぎていく。芸人とファンではなく、創作者同士の語り合いが続く。アート初心者の粗品が、絵画の見方について、みどりに教えを乞う場面も少なくない。粗品が1点の絵画を購入することになり、マネジャーに2万円を借りるというオチをつけて、動画は次回へ続く。
粗品は、こうした企画が「お涙頂戴だ」「あざとい」などと評されることを、まったく恐れていない。有名人という存在が人に力を与えることに自覚的であり、それを利用して人に力を与え、その姿を公開することがまた別の人に力を与えることを知っている。
だから、恥も外聞もなく「感動回です」「ええやろ」と言い切る。
「いけないんだ風見鶏」
みどりと風見鶏で韻を踏んで、曲は終わる。いけないんだ、風見鶏。粗品はどれだけの向かい風が吹いても、目線の方向を決して変えない。
(文=新越谷ノリヲ)