新潟県長岡市の郊外にある摂田屋(せったや)地区は、日本酒や味噌、醤油などの蔵が集まる「醸造の町」。酒造メーカーの吉乃川が、2019年に【吉乃川酒ミュージアム「醸蔵(じょうぐら)」】をオープンしました。館内のバーではここでしか飲めない特別なお酒も用意。レトロな街歩きとともに、酒処長岡の味を楽しめます。

醸造の町にあるお酒のミュージアム

2019年にオープンした酒ミュージアム「醸蔵」は、JR宮内駅より徒歩10分。元は大正期に建設された瓶詰工場と蔵人の住居を兼用した2階立ての建物で、後に倉庫として使われ、国の登録有形文化財に指定されています。

▲大正時代の建物をリノベーションしたミュージアム

▲トラス構造の建物

中は柱のない広々とした空間で、世界遺産の富岡製糸場にも採用されたトラス構造(三角形の集合体の構造形式)で屋根を支えます。

酒造りの歴史が判るミュージアム

1548年創業の酒造メーカー吉乃川は、新潟県で現存する最古の酒蔵で、国内でも屈指の歴史を誇ります。酒造りに使われた古い道具や、かっての酒瓶、歴代のラベルなどを展示。酒造りの歴史と吉乃川の歩みに触れられるミュージアムです。

▲昔使われていた酒瓶をはじめ、古い広告やラベルなども展示され、時代の流れが感じられます

▲古くから使われている酒造りの道具

▲お酒を搾る「槽(ふね)」

現代は自動圧搾機で醪(もろみ)に圧力をかけて日本酒を搾る手法もありますが、吉乃川では今も一部のお酒に伝統的な「槽(ふね)搾り」をおこないます。展示されている槽は最近まで現役だったもので、壊れた部品がすでに廃番になっていたため、ミュージアムに展示することになりました。

▲酒造りをゲームで体験

家族で訪れても子供が楽しめるように、タブレットを使った酒造り体験ゲームを用意。子供がゲームに熱中している間に、大人はお酒を楽しめますね。

ここだけのお酒も試飲できる「醸蔵SAKEバー」

ミュージアムの一画には立ち飲みができる「醸蔵SAKEバー」をオープン。8銘柄のお酒を飲みくらべできるほか、ここでしか飲めない醸蔵限定のお酒も魅力的。地元ならではの食材が楽しめるおつまみは、必ず試しておきたい美味しさです。

▲醸蔵SAKEバー

SAKEサーバーに用意された8銘柄のお酒は、30分¥1,200でフリーテイスティングができるほか、酒造りに欠かせない仕込み水「天下甘露泉」のペットボトルもついています。この日は30年以上愛されている「厳選辛口 吉乃川」や、新ブランド「みなも」シリーズのうち、全量手造りの「みなも中汲み」から香り高い「爽彩純米」を用意していました。

▲8銘柄飲みくらべ(30分)¥1,200

醸蔵でしか飲めない限定のお酒があるのも大きな魅力。定期的に替わり、この日は酒米に新潟県産の五百万石を使った「純米 無濾過原酒」が用意され、米の旨味や酸もしっかり感じられるすっきりとした味わいです。

爽やかな香りの「吟醸 極上吉乃川」は、新潟らしい淡麗辛口ですが口あたりの優しいお酒でした。

▲「吟醸 極上吉乃川」(80ml ¥300)と醸蔵限定の特別なお酒(80ml ¥800)

醸蔵限定で販売される「醸蔵 生原酒」は、屋根をラベルのデザインにしたプレミアム感たっぷりの1杯。20度と度数が高めですが、すっきりと飲みやすいお酒でした。

▲「醸蔵 生原酒」80ml ¥500

長岡市栃尾地域の名物ジャンボ油揚げ「あぶらげ」も食べられます。普通の3倍もある油揚げは、二度揚げされて中までふっくら。摂田屋地区にある豆腐店佐野屋のあげで、同じく摂田屋にある「越のむらさき」(江戸後期創業)のお醤油をかけていただくのもおすすめ。ふき味噌のほろ苦さとも相性抜群で、また食べたくなる美味しさでした。

▲長岡名物「あぶらげ&ふきみそ」 ¥500

「鶏のかぐら南蛮みそ和え」もお酒のあてにぴったり。吉乃川の酒粕に漬けた鶏肉を、山古志地区で栽培される伝統野菜の唐辛子“かぐら南蛮”を越後味噌と混ぜた“かぐら南蛮みそ”で炒めた逸品。鶏肉はふわふわと柔らかく、ほんのりピリ辛の味噌味で、ついついお酒が進みます。

▲「鶏のかぐら南蛮みそ和え」 ¥400

古酒の飲みくらべができるのも貴重です。2000年、2005年、2010年の3種類が用意されまずが、その年の日本酒の出来でも味わいが変わる新体験。現在は2000年が完売のため、2002年、2005年、2010年を提供中。普段飲みなれた日本酒とは異なるビンテージな味わいも一興です。

▲長期熟成古酒 純米酒「悠久の社」3種飲み比べ ¥1,000