◆スリラーであり、究極のラブストーリー

『理想郷』
 負のループは止まらない。恐ろしい感情はうつし、鏡になってどんどん増長していく。だけど、この映画の本当に凄いところは、決して人間の恐ろしさを描くだけでは終わらないというところ。

 夫婦は深い信頼で繋がり、お互いを認め合っていた。人間としての尊厳を諦めず、最後まで逃げなかった。この映画は、スリラーであり、紛れもない究極のラブストーリーでした。

 そして最後に! 物語の面白さも然ることながら、画のインパクトもすごかったです。特に物語中盤の、風車とアントワーヌの画は忘れられないほど素晴らしかった。

 ぜひ映画館で体感してほしいです。(P.S.わんこが出てきます。無事です!)

●『理想郷』

配給/アンプラグド Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開中 ©Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.

【松本穂香】

1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。10月スタートのNHK夜ドラ『ミワさんなりすます』で主演を務めるほか、映画『笑いのカイブツ』が2024年1月5日に公開する