◆「あいつらは狭量だ」と思う私たちの視野もまた狭い

『理想郷』
 冒頭は目を覆いたくなるような映像から始まり、その得体の知れない恐怖を植え付けられたまま始まっていく、村の日常。

「この村はゴーストタウン」と自らの故郷を諦める村の住人と、「この村は美しい」と夢を抱いて再生しようとする都会の人間。

 偏見が圧縮されたようなこの村を見続けているうちに、どちらの意見が正しいのかわからなくなる自分がいました。「あいつらは狭量だ、野蛮だ」と思う私たちの視野もまた、狭いのかもしれないと。

 ただ一つハッキリと感じられたことは、同じ人間なのに話が通じないことの恐ろしさ。そして、相手もまた、アイツは話が通じないと思っているということ。