◆お笑い草にならない王子のビジュアル

 うまく入城できた赤ずきんとシンデレラは、さっそく王子と謁見することになる。王様に付き従い、見目麗しい姿で客たちの前に登場するが、ここでまたしてもギャグセンスが炸裂する。

 王様役が福田組の常連俳優、佐藤二朗なのだ。うっすら想像してはいたが、いやいや佐藤二朗から岩田剛典の顔は絶対に産まれない。そんなギャグ王様の隣で凛としてたたずむ王子。その名もジルベール。

 ビロードのような響き。ジルベールと言えば、竹宮惠子の漫画『風と木の詩』の美少年の名前を思い出すが、割りとロン毛な王子のビジュアルは、池田理代子の『ベルサイユのばら』の主人公オスカルのような男装した女性と見紛うほどの美麗さである。

「普通だったら漫才師みたいになるところを」と赤ずきんが言うように、これは確かに岩田以外の俳優ではお笑い草だろう。シンデレラの元へ行き、「踊っていただけますか?」と手を伸ばすときの声色ひとつとっても完璧な王子様ぶりである。