◆誰よりもマジカルな存在

 ともあれ、この驚きの役をじっくり見ていこう。物語の主役はタイトル通り赤ずきんかと思いきや、冒頭直後にシンデレラが登場し、キムラ緑子扮するコミカルな魔女バーバラとギャグセンス満載のやり取りを繰り広げる。

 さらにもうひとりの若い魔女テクラ(桐谷美玲)まで現れ、ドレスに身を包んだ赤ずきんとシンデレラが、ムロツヨシ演じるネズミのポールが走らせるかぼちゃの馬車で舞踏会へ向かう。

 福田雄一監督らしい荒唐無稽にも思える展開ながら、夜の森の先に見えるお城が映ると、結構ワクワクしてくる。何せ城内には、リアル王子、岩田剛典が待っているのだ。

「早くそのお姿をひと目見たい!」と思わせる彼こそ、赤ずきんやシンデレラ、はたまた彼らに魔法をかける魔女よりもマジカルな存在ではないか。