加えて、視聴率の低下も進んでいる。10年大会の14.3%(ビデオリサーチ調べ、世帯、関東地区/以下同)をピークに19年大会までは10%前後をキープしていたが、芸歴制限を導入した21年が6.6%、22年が6.3%、今年は5.8%まで落ち込んでいる。昨年末の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で優勝したウエストランドがネタ中に言い放った「R-1には夢がない!」という発言が大きな共感笑いを生んだのも、致し方ない現状といえる。

 とはいえ『R-1』にまったく夢がなかったかといえば、そんなことはないはずだ。

 16年大会において芸歴24年目で優勝を果たしたハリウッドザコシショウを筆頭に、06年の博多華丸や、近年ではお見送り芸人しんいちとZAZYも『R-1』出身といって差し支えないだろう。『M-1』との2冠を達成している霜降り明星・粗品とマヂカルラブリー・野田クリスタルには『キングオブコント』(TBS系)も含めた3冠達成へのロマンを与えているし、逆に『M-1』20年大会に出場した、おいでやす小田とこがけんの即席ユニット・おいでやすこがは「R-1に芸歴制限ができたから、漫才しかなくなった」というストーリーを背負って準優勝まで駆け上がった。これも『R-1』の存在感を示すひとつのエピソードだ。格が低いことと存在価値がないことは、まるで違う。

 だからこそ、今回の芸歴制限撤廃を歓迎するベテラン勢は少なくないはずだ。彼らの顔が目に浮かぶようだ。