子どもの独立や定年を迎えたことなどをきっかけに「熟年離婚」を選ぶ夫婦は少なくありません。離婚には、気持ちの問題だけでなくお金の問題もつきまといます。大事なお金のことを正確に把握しきれていなかったがために、損をして後悔してしまうこともあります。

子どもの独立をきっかけに熟年離婚

子どもが社会人になり独立したことをきっかけに、52歳で離婚したA子さん。夫の収入に頼って生活してきたものの、堅実に貯金できていたことや「年金分割」という制度があると知っていたこともあり、離婚を決意しました。

当時あった貯金や財産を話し合いで分け、晴れやかな気持ちで1人暮らしを始めたA子さんでしたが、その3年後、自分が年金分割という制度についてきちんと理解できていなかったことに気が付きました。気が付いたときには時すでに遅し、A子さんはずっと後悔しています。

年金分割、よくある勘違い

A子さんが勘違いしていたポイントは次の3つです。

「半額がもらえる」ではない

「分割」とついていますが、これは夫が受け取る年金の半分を自分が受け取れるという意味ではありません。「結婚している間の、厚生年金を納めた記録」を分割できるということです。

結婚前、結婚後、国民年金部分などは対象になりません。受け取れるのは月数万円だけということもあり、案外少ない金額にびっくりされる方も多いところです。離婚前に年金事務所などで確認しておくのがおすすめです。

請求には期限がある

年金分割は、離婚しただけで勝手に行われるというものではありません。離婚後「2年」以内に請求手続きをする必要があります。この期限を過ぎると手続きできなくなってしまいます。意識せずにいると、A子さんのように年金の受け取り時期が近づいてきたタイミングで気が付いて、後悔してしまう人もいます。

退職金も分割できる?

近いうちに確実に夫が退職金を受け取る予定ということであれば、財産分与として離婚する妻もその一部を受け取れる可能性があります。財産分与は、必ずしも今ある財産だけを分けるものではありません。なお、財産分与も請求できる期限は2年とされています。