「セブン-イレブン」は、街中のあちこちで見かけるコンビニのひとつ。場所によっては、道路を挟んですぐ向かいに立地していることも……なぜ、わざわざ近くに出店をしているのでしょうか。その疑問を解くヒントは「ドミナント戦略」にあります。セブン-イレブンの経営手法を例に、「ドミナント戦略」について解説します。

あちこちで見かける「セブン-イレブン」国内店舗数は2万超!

コンビニの元祖とも言われ、コンビニ大手の1社に数えられるセブン-イレブン。1974年に第1号店が東京の豊洲にオープンして以降、店舗数を増やし続けてきました。

1980年度に1,000店舗を突破し、1993年2月に5,000店舗、2003年8月に1万店舗、2018年1月に2万店舗を超え、2020年5月末時点の総店舗数は2万930店舗に上っています。全国47都道府県で展開しており、東京だけでも2,765店舗あります。

幹線道路沿いや住宅街、ビルの1階などに出店するセブン-イレブンは、店舗によっては歩いてすぐの所に別の店舗があるということもしばしばです。売上を奪い合ってしまうのでは?と考える人もいるかもしれませんが、実はコレあえてやっている戦略なのです。

セブン-イレブンは「ドミナント戦略」を実践している

dominantは日本語で「最も優勢なもの」「支配的なもの」という意味があり、「ドミナント戦略」とは一般的に、一定地域に集中的に出店することでそのエリアで圧倒的なシェア・地位を獲得するための経営戦略を指します。

セブン-イレブンはこのドミナント戦略を実施しているため、既存店のすぐ近くに新規店舗がオープンするということが起こりえるわけです。

ドミナント戦略のメリットは?

一般的に店舗の商圏が重なると、売上の「カニバリゼーション」(共食い)が起きてしまいます。ただしその地域で圧倒的な知名度と人気度を誇るようになれば、競合ブランドを締め出し、特定エリアにおける見込み客を総取りすることができるという考え方です。

また、店舗が近くにあることで生産拠点を構築し、商品の配送効率を高められるほか、店舗間で商品の融通が効きやすいことなどのメリットがあります。キャンペーンなどプロモーションを実施する場合も、近くの店舗が一斉に行うことでより効果を高めることが期待されるでしょう。

セブン-イレブンを運営するセブン&アイホールディングスはこのドミナント戦略を、グループ会社全体で展開しています。

たとえばターミナル駅直結には百貨店の「西武」「そごう」、駅前のコンビニには「セブン-イレブン」、駅からほど近い商業施設には専門店「ロフト」やファミリーレストラン「デニーズ」を展開するなど……これらはすべてセブン&アイグループで、業態の垣根を超えてグループ全体として認知度の向上や効率化をはかっているようです。