「語学力を向上させて日本以外の世界の文化を知りたい」「最先端の専門的知識を学んで将来的に海外で働きたい」などさまざまな理由から留学を考えている学生は多いかもしれません。しかしひと口に留学と言ってもその費用や期間は千差万別です。本記事では、語学(短期)留学やワーキングホリデー、海外の大学院への進学などさまざまな選択肢のメリットとデメリットを解説していきます。

語学留学では限られた時間を「どう過ごすか」が試される

学生・社会人を問わず多くの人にとって、最も手軽な選択肢となるのが私費による語学留学です。期間も1週間~1年と幅広く、必要な語学力も基礎~上級レベルまで広く対応しています。

そのため予算と時間に余裕さえあれば、無数のプログラムの中から自分に合った留学先をチョイスすることができるでしょう。渡航先によって異なりますが、例えば都市別では以下のような金額がおおよその目安になります。

渡航先 1ヵ月の留学費用の目安
アメリカ(ロサンゼルス) 約50~60万円
カナダ(バンクーバー) 約30~35万円
オーストラリア(メルボルン) 約35~38万円

英語初心者が英語圏に留学した場合を例にとると「1週間で簡単なリスニング能力が身につく」「1ヵ月で片言での日常会話ができるようになる」といった効果が期待できます。

もちろんベースとなる語学力や日々の努力によって、大きな個人差が出てくることは言うまでもありません。しっかりとした目的意識を持って参加しないと、せっかくの留学期間が無意味なものになる可能性があります。

例えば海外の語学学校で学んでいても、日本人同士のグループでしか行動しなければ単に割高な海外旅行と変わりません。また基本的な語学力を高めたいのであれば駅前留学やオンライン学習などでより手軽に代替することもできます。

語学留学のメリットを最大限に生かしたいのであれば、留学エージェントや学校のプログラム頼みではいけません。

自分自身でメリハリをつけて学習し、現地の人たちが使う「生きた言葉」の中に意識的に身を置くことが重要です。短期間の留学であっても積極的に学ぶ意欲さえあれば、海外で得た経験は後の人生の大きな糧となるでしょう。

海外での時間を自由にデザインできるワーキングホリデー

ワーキングホリデーとは国家・地域間の取り決めに基づき双方の国・地域の青少年に対して、休暇目的の入国および滞在期間中の資金を補うための付随的な就労を認める制度です。日本では1980年にオーストラリアとの間で初めて同制度がスタートし、2020年4月1日の時点で26の国・地域の間で盛んに文化交流が行われています。

国際交流や相互理解を深めることを趣旨とした制度のため、査証(ビザ)の発給要件はさほど厳しくはありません。基本的に18歳以上30歳以下(国・地域によって異なる)で、健康かつ必要な資金があれば誰でも同制度を利用することができます。

ワーキングホリデーの最大のメリットは、就労ビザがなくても渡航先で付随的な就労(アルバイト)が可能なことです。滞在に必要な資金を稼ぎながら休暇を過ごすことができるため、まとまった滞在期間の場合でも費用をかなり低く抑えられます。

ワーキングホリデーの過ごし方は、「海外で生活をしてみたかった」「語学力の向上が目的」「ボランティアや社会貢献、休暇と旅行が目的」など人それぞれです。強い意志に加えて未知の環境下でも物怖じしないコミュニケーション能力のある人に向いた制度だと言えるでしょう。

いくら現地で仕事ができるといっても、国や地域ごとに就労条件には制限があり滞在資金すべてを賄えるほどのお金を稼ぐことはできません。滞在先によっても異なりますが、余裕を持って1年間を過ごすためには100万円ほどの生活費を用意するのがベターです。

物価や職探しの難易度なども含めて、目的と予算に合った滞在先を選ぶ段階から自主性と計画力が試されることを肝に銘じておきましょう。