あまりライブに出ずに本番を迎えると、出番前で台詞の間違いに気づき直前で手直しをするが、セリフを覚えられるか不安になりコンビ同士の喧嘩のきっかけになって「お前とはもう漫才したくない」と本番直前に解散し急遽欠場なんてことも少なくない。

 いざ出番前になると、声が出るか不安になってきて声を少し出してみるも「こんな声だったっけ」と不安が加速し咳払いを何度もして、結果喉を痛めてしまう場合もある。3組前ぐらいになると落ち着かなくなり、小刻みに歩くことを無意識に繰り返し出番前にクタクタになってしまうことがある。台詞がなんとか頭に入っても、直前で急に練習で台詞が出てこなくなることもあります。練習すればするほど不安になってきて山ほど練習したはずなのに一番忘れた事ない台詞が出てこなくて冷や汗をかくなんてこともある。

 有名な芸人さんが自分の出番近くに出場しテレビでは気づけなかったが、実際にみると実力差があきらかにあることで萎縮してしまいさっきまでの自分とは思えないぐらいモジモジして漫才をやってしまうこともある。思いが強ければ強いほどミスをした時に相方に当たりがキツくなってしまい、漫才中に少し怒ってしまい相方に萎縮して、普段の関係性がネタに見えてしまい取り返しのつかなくなることもある。

 経験があれば全て解決というわけでもなく、かなりの数のライブを経験した芸人でさえ本番甘噛みが止まらないなんて事もある。いつもの自分で無くなるのがM-1グランプリなのだ。客席から見ると台詞を忘れて立ち尽くす出場者は滑稽で笑ってしまうこともあるが、当人は出番が終わり2分の漫才を少し間違えただけで、コンビの関係性がおかしくなるなんてこともある。記念のつもりで気楽に出ると思った以上に楽しむ余裕なんかない場合もありますので、お気をつけてください。