やがて会社も大きくなり、所属タレントも増えると同時に性加害の被害者もどんどん増えていった。芸能界に〝帝国〟を築くことになったが、周囲は見て見ぬふりをしていたというわけだ。企業としての重大な欠陥が露呈したという見方もある。

「一般の大手企業はもちろん、ほかの大手芸能事務所もそうだが、トップの身になにかあっては大問題なので、秘書、あるいは専属運転手が四六時中、行動を共にしているのが慣例。ところが、ジャニーズはジャニー喜多川氏が頑なに断っていたのか、実権を握っていたメリー氏が良しとしたのか、会社が大きくなっても自分で運転をしていたことが多かった。どこへ行くにもフットワークが軽いのはいいが、事故を起こしてしまうリスクも高い。

 そして、仮に付き人と一緒に行動させていたら、ひとりでも性加害の被害者を減らすことができたかもしれない。さすがに、晩年は自力で歩くのが厳しいほど足の状態が悪く、お付きの運転手が行動を共にしていた。もはや精力も衰えたのか、晩年の被害者はいなかったはずなのだが……」(同)

 こんなところにも、同族企業の弊害が現れていたのだ。