それでも、年商1000億円ともいわれるジャニーズ事務所なら払えない額ではなく、名称を変えて再出発したほうが得策に思える。だが、先述したようにファンにとって思い入れのあるグループ名にも影響が及ぶという問題があり、タレントによっては「ジャニーズ」という名前にあこがれて事務所に入った者も少なくないため、名称変更をきっかけに求心力を失って退所者が続出するおそれもある。ある意味、人材流出は名称変更による出費よりも大きなダメージになるかもしれない。

 ジャニーズWESTの中間淳太は、9日に出演した関西の情報番組で「ジャニーズという名前は好きですし、誇りもあります」「今のグループ名で続けていきたい気持ちはある」と前置きしたうえで、「世間一般の目から見て、ジャニーズという名前を続けるのはおかしいんじゃないかというのは分かります。僕も1人の人間としては変えるべきだと思っていますし、ジャニーズWESTの名前がなくなる覚悟もできています」などと、言葉を詰まらせながら語っていた。被害者の心情などを踏まえて「名称は変えるべき」としながらも、ジャニーズという会社名やグループ名に愛着があることを正直に話すという、真摯な告白だったといえる。中間の言葉に共感したファンは多く、所属タレントやファンの思いを代弁したともいえそうだ。

 ネット上では、仮に名称変更しても、メディア上では「X(旧Twitter)」のように「〇〇(旧ジャニーズ)」と表記されるので意味がないという指摘もあるが、現状の流れだと「ジャニーズの名称消滅」は不可避だろう。ファンだけでなく老若男女に浸透していた「ジャニーズ」がジャニーズでなくなった時、どれほどの社会的影響が生じるのだろうか。