そんな風潮への、アンチテーゼだったのだろう。霜降り明星の動画にはスタッフやマネジャーが出演することはあるものの、基本的には企画力と2人のトーク力だけで運営されている。内容に制限のかかる広告案件も、ほとんど受けようとしない。誰にも頼らず、おもねらず、我が道を突っ走っている。粗品はしばしば「YouTuberは面白くない」と発言して炎上騒ぎになっているが、自らのこうした方針と実績に裏打ちされているだけに、その発言にも説得力が生まれている。
さらに恐ろしいことに、粗品は個人チャンネル『粗品 Official Channel』を毎日更新。第2個人チャンネル『粗品のロケ』も週3回更新を続けている。企画内容も、『粗品 Official Channel』では1人トークの他、作曲などの音楽活動、ネタライブや企画ライブの切り抜き、無名の後輩をフックアップする「粗品を笑わせろ」など、コンビチャンネルとは毛色の違う企画を数々打ち出し、その差別化を図っている。中でも過去2回公開されている「FIRST TALK」という、たった1人で1時間ノンストップ漫談を披露する企画は、圧巻のひとことだ。一方『粗品のロケ』では街ブラで通行人とからんだり、ファンに直接会いに行ったりと、こちらもチャンネルを分けている意味を明確に打ち出している。登録者は20日現在で『粗品 Official Channel』が162万人、『粗品のロケ』が37.6万人と、こちらも合計で約200万人が登録していることになる。一方のせいやも、『霜降り明星せいやのイニミニチャンネル』で約30万人の登録者を獲得している。
もちろん、テレビのレギュラーもある。ラジオも週2本あり、1本は金曜25時から2時間の生放送だ。霜降り明星は、新旧のメディアを横断して出力を上げ続けている。この天才2人は明らかに、令和の時代の「天下」を見据えている。
(文=新越谷ノリヲ)
※記事中に事実関係の誤りがあり、修正をいたしました。関係者のみなさまにご迷惑をおかけしましたことを慎んでお詫び申し上げます。