しかし、山本氏が講義をした2007年時点はともかく、その後の『ミュージックステーション』では、2009年に初の単独出演を果たした東方神起を始め、K-POP系ボーイズグループは問題なく出演している。となると、やはり「“レギュラー”のジャニーズがいるから、歌って踊れるグループは他にいらない」という説明には疑問符がつく。

 実際、7日のジャニーズの会見ではジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦が「僕もこういう立場になって『これは、なんでこうなんだろう?』って疑問に思うことがあった。『昔、ジャニーさん、メリー(喜多川/元ジャニーズ事務所名誉会長)さんがこう言ったから』っていう、ちょっと昔のタイプのスタッフもいた」と語り、ジャニー氏およびメリー氏による“圧力”が存在していたことを暗にほのめかした。

 このことは、ジャニー氏からの性被害を訴えた元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が同様のことを語っている。今年4月に三崎優太氏のYouTubeチャンネルに出演した際、「自分たちでも『出ないよね』って、めっちゃ言ってました」とジャニーズJr.内でも他事務所の男性グループが音楽番組に出演する機会が少ないことを認識していたと言及。さらに、ジャニー氏の自宅にいた際、テレビを観ていて男性グループを見つけると「誰? これ、うちじゃないよね」と他事務所のグループかどうかを確認し、ジャニー氏はそのグループ名をメモしていたという逸話を明かし、その後そのグループをテレビで観る機会が減ったと話していた。

 長く続いた「ミュージックステーションによるジャニーズ忖度の歴史」が、東山新社長の「必要ない」というひと言によって、ついに終わりを告げることになりそうだ。東山新社長は“辞めジャニ”の活動についても「妨害しない」と明言しており、元King & Princeの平野紫耀や神宮寺勇太、元SMAPの香取慎吾ら「新しい地図」の面々などが遠くないうちに『ミュージックステーション』に出演できる可能性もある。特に香取はソロ歌手としてNHK、フジテレビ、日本テレビと出演の機会が増えており、期待したいところ。番組側としても、ジャニーズ以外のボーイズグループを出演させないと「忖度が続いているのでは」と疑われるため、公正さをアピールするためにも積極的に非ジャニーズ系を起用していきたいところだろう。

 最近はTravis JapanとINIがSNSでコラボするなど壁が徐々に崩れてきている印象があったが、“ジャニーズ忖度の象徴”ともいわれた『ミュージックステーション』に変革が起きれば、芸能界にはびこっていた古い慣習を打ち壊していく流れはさらに加速していきそうだ。