飲食店ではメニューの価格を決める際に、売上はもちろん、原価率を鑑みながら、立地やターゲットなどさまざまな視点で分析します。
お寿司やカレーなどと並び、日本人の国民食ともいえるラーメンの原価率はどれくらいなのでしょうか。ラーメン屋のオーナーにお話を伺ったうえで、複数のラーメン屋を調査して数字を考えてみました。
ラーメンの平均的な原価率は約3割
一杯800円のラーメンの場合を考えてみましょう。
シンプルなレシピのラーメンに必要な食材は、「麺・タレ・スープ・チャーシュー・煮卵・ネギ・メンマ・もやし」などです。麺やスープは自家製なのか、野菜などの相場はいくらなのか、といった点で価格は異なりますが、ザックリと原材料価格をあげてみます。
麺:80円(工場などで製造したものを使用した場合)
タレ:70円(自家製)
チャーシュー:60円(普通サイズ2枚)
煮卵:20円
ネギ:5円
メンマ:10円
もやし:10円
*この他にも、スープの原材料として利用した豚骨や鶏ガラ、ネギやニンニク、そして香辛料なども使用されています。
具体的に価格を記載したものだけでトータル255円。原価率は3割から3.5割が一般的といったところです。
スープやトッピングなどで大きく変わる
一杯800円のラーメンがメインのお店でも、さまざまなトッピングがあり、ラーメン屋の収入にも大きく影響します。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
チャーシュー
チャーシューは、一般的なトッピングの中では高額な部類に入ります。
チャーシューの原材料である豚肉の値段は、中サイズのもの5切れで150円程度です。しかし、実際にかけた手間暇を考えると、実は安い値段でもあります。
インタビューを行ったお店の場合、チャーシューを作るのにかかる時間は約6時間です。豚肉をタレに漬け込んで味を染み込ませる時間だけでなく、下処理や切り分ける手間などもかかっています。
一見高いと思われるチャーシューですが、実はリーズナブルな一品なのです。
煮卵
煮卵もラーメンの人気トッピングの一つです。トロトロの黄身が何とも言えず、欠かせない味のアクセントとして注文する人も多いでしょう。
卵自体は安価な食材ですが、熱しすぎると黄身が固まってしまうため、時間を管理しながら慎重に調理しなければなりません。また、その店ならではの味付けがあり、タレを使って漬け置きすることもあります。
煮卵の原材料価格は、スーパーで販売されている卵の価格を見ればわかる通り、1個20円程度でしょう。
その他、よくあるトッピングや原材料価格の目安は以下の通りです。
ワカメ:10円
コーン:20円
バター:30円
のり:10円
スープ
ラーメンのスープは、店によって仕込みや調理方法が異なります。
醤油や塩ベースなら比較的原価は安く、1杯50円程度です。しかし、味噌や豚骨ベースのスープは使用する原材料が増えるため、原価が跳ね上がって100円程度かかります。