安易な救急車の利用を控えるべき理由は?

筆者が「first call」の利用をおすすめする理由の1つに「安易な救急車の利用を控えるべきだから」があげられます。公的なデータを用いて検証してみましょう。

現場や病院に到着するまでの時間は長くなっている

下記のグラフは、消防庁が発表した「救急車が出動要請を受けて現場に到着するまでの時間(現場到着所要時間)」と「救急車が患者を医療機関に搬送し終えるまでの時間(病院収容所要時間)」の関係を表したものです。

チャットで医師に相談できる「dヘルスケア」とは

年を追うごとに右肩上がりになっているのが分かります。高齢化や新型コロナウイルス感染症などの影響で急に体調を崩す人が増えたことが理由のひとつとして考えられるでしょう。

一方で、救急車を呼んでみたものの、実際は深刻ではなかった事例もたくさんあります。消防庁の報告によると、2022(令和3)年に救急搬送された人のうち、約45%(約246万人)が入院の必要のない「軽症」と診断されたとのことでした。

軽症であり、緊急性は高くないと事前に何らかの形でわかれば、救急車を呼ぶ必要がないと判断できます。

実際どうなったら救急車を呼ぶべき?

安易な救急車の利用は控えるべきですが、急を要する場合はやはり呼ぶほうが良いでしょう。ここで「急を要する場合」とはどういう状態なのでしょうか。

誰が見ても具合が悪そうならやはり呼ぶべき

政府広報オンラインでは、救急車を呼ぶべき緊急性の高い症状の一例が紹介されています。以下の症状のように「誰が見ても具合が悪そうな」状態であれば救急車を呼ぶのが望ましいでしょう。

・顔半分が動かない
・ろれつが回らない
・顔色が明らかに悪い
・突然の頭痛・胸痛・頭痛・手足のしびれ
・吐血・下血
・けいれん
・激しい嘔吐
・急にふらつき立っていられない

参照:政府広報オンライン「もしものときの救急車の利用法 どんな場合に、どう呼べばいいの?

自分と家族の健康管理に役立てよう

今回は「救急車を呼ぶか迷ったとき」という前提で書きましたが、「first call」は普段の健康管理にも役立ちます。

気になる症状があっても病院に行っていなかったり、すでに病院にかかったけど疑問があったりなど、困ったことがあれば気軽に相談してみましょう。

チャットであれば顔を見せなくてもよいぶん、対面では聞きづらいことも遠慮なく聞けるかもしれません。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日商簿記検定1級、貸金業務取扱主任者(試験合格)。