医療保険は保険料が上昇しない終身タイプがおすすめ
健康保険や高額療養費制度があるほか、75歳以降、後期高齢者医療制度に加入すれば多くの人の医療費が1割負担になる可能性を考えれば、公的医療保険制度で十分とも考えられるかもしれません。
しかし老後、収入の大半を貯蓄と取り崩しながら生活をしている場合、急な医療費は大きな負担になる可能性があります。
そのため定年退職後は、保険料が上昇しない終身タイプの医療保険で備えておくことをおすすめします。
介護費用はできれば手元資金の中から確保しよう!
また定年退職後は、介護費用を心配される人もいるでしょう。
生命保険文化センターの調査によると、月々の介護費用の平均費用は8.3万円、一時金は74万円、介護期間の平均は5年1カ月です。計算すると8.3万円×61カ月(5年1カ月)+74万円=約580万円となり、小さな金額ではないため、民間の介護保険で備えておきたいところです。
しかし、要支援・要介護になる確率は70代後半から急激に上昇する傾向があり、この年齢に民間の介護保険を使うことを想定して加入すると、保険料はかなり割高になるでしょう。
そのため介護費用については、できれば民間の介護保険に加入するのではなく、手元資金の中から確保しておきたいところです。
葬儀費用の準備も手元資金から!?
葬儀費用は、終身タイプの死亡保険で準備するのが一般的ですが、定年退職後から加入すると保険料が割高になります。
葬儀費用準備を目的とするのであれば、手元資金から捻出することをおすすめします。
相続税対策で保険に入る人も
相続対策として、終身タイプの死亡保険を活用するのは有効な方法です。生命保険に加入していた被相続人に万が一のことがあった場合、保険金受取人が相続人であれば1人あたり500万円の非課税枠が利用できます。
仮に相続人が3人いる場合、500万円×3人=1,500万円までは非課税となるため、相続税対策として非常に有効な方法といえるでしょう。
老後の保険加入は計画的に!
定年退職後は多くの方が収入の大半を公的年金に頼ることになるため、リスクと保険料を考慮しながら、どのリスクに対して保険で備えるのか慎重に検討する必要があります。
定年退職後は、医療費と相続対策は保険で準備し、介護と葬儀代は手元資金から準備すると良いでしょう。
文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー)
立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、ファイナンシャル・プランナーとして活動を開始。個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターなどとしても活動中。得意分野は保険領域。