保険を活用して貯蓄すると、保険と貯蓄を兼ねることができるのでお得という話は本当でしょうか?
実際に保険と預貯金で運用した場合の事例を見ながら考えてみましょう。
貯蓄型保険が預貯金よりお得になるとは限らない
貯蓄型保険は必ずしも預貯金よりお得とは限りません。
貯蓄型保険と預貯金の仕組み上、まったく同じ条件で比較することはできませんが、運用結果のおおよその目安を見て行きましょう。
貯蓄型保険で運用した場合の一例
【前提条件】
A保険会社で死亡保険金500万円、60歳で払込が終わる終身保険に加入したとします。
生命保険は一般的に同じ内容の保険に加入する場合、加入年齢が若いほうが保険料は割安になる傾向があるため払込保険料総額は安くなり、有利に貯蓄ができます。
加入時年齢 | 毎月の保険料 | 60歳まで加入したとき の払込保険料総額 |
保険料払込期間が 終わった直後に解約したとき の解約返礼金額 |
返戻率 |
---|---|---|---|---|
20歳 | 約7,700円 | 約370.8万円 | 約430.1万円 | 約115.9% |
30歳 | 約1万800円 | 約391.3万円 | 約109.9% | |
40歳 | 約1万7,300円 | 約415.3万円 | 約103.5% | |
50歳 | 約3万7,100円 | 約445.2万円 | 約96.6% |
上記表より年齢が上昇すると返戻率が下がるため、貯蓄型保険が預貯金より得になるかどうかは、加入する年齢によるといえるでしょう。
なお、返戻率とは「解約返戻金-払込保険料総額✕100」で計算をします。返戻率100を下回るということは支払い続けた保険料の総額よりも、受け取れる解約返戻金のほうが少ない元本割れの状態です。
さらに貯蓄型保険に加入した場合、一般生命保険料控除が所得税で年間4万円、住民税で年間2.8万円まで使えるため、所得税、住民税ともに10%とした場合、所得税が4,000円、住民税2,800円がそれぞれ軽減されます。
普通預金で預貯金をした場合の一例
仮に20歳で保険料と同等の金額にあたる約7,700円を60歳まで、金利0.001%の普通預金に積み立て続けた場合、40年間で増える金額は約500円。30歳で毎月1万800円を60歳まで積み立てた場合、30年間で増える金額は約400円です。
貯蓄型保険と預貯金の比較
これだけを見ると、生命保険を活用した預貯金のほうがお得に見えてしまいます。しかし生命保険で運用する場合、注意すべき点もあります。
以下、生命保険で預貯金する場合の落とし穴についても見てみましょう。