◆一瞬の鼻こすりは“彼にしかできない妙技”

 Dr.チョコレートの存在を取材する東都新聞記者の奥泉渚(西野七瀬)と会話する場面もやはり車内。ギブアンドテイク。

 哲也は、このフレーズを何度も繰り返す。「こちらも情報を与えるので、そちらからもいただきたい」と言って、哲也は鼻をこする。

 この場面、ピントは主に演技をする西野に合っている。にもかかわらず、ピントが合っていない方の坂口(しかも横顔で!)が、瞬間的な妙技を発動するようにわずかな仕草で魅せる。

 この鼻こすりにはたまげた。一瞬の出来事だったが、いやはや、これこそ、事件発生ではないか!

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu