社会主義支持派は3割、愛国主義支持派は6割、進歩主義支持派は4割

そこで資本主義と対なるものとして社会主義が浮上するが、若い世代にとって社会主義は問題外のようだ。ハーバード大学政治研究所の調査によると、社会主義の支持派は33%、自身を社会主義者とみなすのは16%と、資本主義の支持率よりさらに低い。

ちなみに進歩主義支持派は44%、愛国主義支持派は57%、男女同権主義支持派は49%、社会的公正活動主義支持派は48%である。

極端にいうと、若い世代にとって「~主義」は大した問題ではないのかもしれない。資本主義であろうと社会主義であろうと、過去15年間にわたり世帯収入が減少傾向にあるという事実に憤りを感じない方が不自然だ。経済構造そのものに対する見方が、ほかの世代と180度異なるのも無理はない。

その証拠に、例えば「どのように経済を構成すべきか」という質問に関して、「政府は経済を規制する上で大きな役割を果たすべき」と考えている若い世代は27%、「政府は所得格差の縮小に大きな役割を果たすべき」と考えているのは30%しかいない。また「財政支出は経済成長を促進する上で効果的」と確信しているのは26%だ。 

それにも関わらず、48%が「基本的な健康保険制度はすべての人々に提供されるべき」、47%が「低所得者には政府が日用必需品や食料品、宿泊施設などを提供すべき」と主張している。

つまり、若い世代が求めているのは資本主義そのものの排除ではなく、新たな形の資本主義という結論に落ち着く。

欧米で活発化、共有する資本主義=従業員所有企業化とは?

米民間調査機関パブリック・ポリシー・ポーリングによる2015年6月の調査では、18~29歳(回答者853人中14%)の75%が、従業員所有企業化とそれを促進する政府の介入を支持している。従業員所有企業とは従業員が自社の過半数以上を所有し、経営者となる事業モデルで、欧米では広く浸透している。企業の利益を公平に従業員や社会に還元するという観点から、「共有する資本主義」とみなされている(コーネル大学産業・労使関係学部2011年資料より )。

さらに83%が従業員所有企業の発想を、「アップルパイや野球、ホットドッグと同じぐらい米国っぽい」と、ポジティブに受けとめている。

既存の資本主義が所得格差や不平等性の要因とされているのに対し、「共有する資本主義」は所得格差の縮小に大きく貢献すると期待されている。またギャロップが2016年に実施した別の調査では、40%が「利益を社員に還元している企業に転職したい」と答えた(CNBC2018年4月8日付記事)。 

若い世代の資本主義への反発心からみえるのは、不平等性に対する憤りや失望である。ラトガース大学経営学院労働関係学部のジョゼフ・ブラシ教授とダグラス・L・クルーズ教授はCNBCの寄稿の中で、2018年3月、全米で推定100万人以上が参加した銃規制デモを例に挙げ、若い世代の不満や怒りが次は経済の壁を動かすかもしれない―と述べている。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
女性を超える関心度!?「オトコの美活」意識調査結果
住宅ローン控除(減税)をフル活用するための基本の「き」
実はハイリスクなライフイベントTOP5。転職、住宅購入、結婚……
2018年マンションの「駆け込み」需要が起きるってホント?
じぶん時間がもっと増える「ちょこっと家事代行」3選