◆躍動感のあるメインタイトル

ビーチボーイズ
 冒頭場面を見てみよう。反町扮するヒモ男・桜井広海は彼女に家を追い出され、一文無し。エリート商社マンの鈴木海都(竹野内豊)はミスをして大プロジェクトから外され、生き甲斐を失う。それでふたりが向かうのが海という鮮やかな発端。

 行き場のない主人公が海へ行く。キャラクターを突き動かす感情としてこれほどシンプルな動機はない。誰もが海に対して抱くロマンも仮託され、視聴者は広海と海都に全幅の信頼を寄せられる。

 広海と海都の対比も素晴らしい。クールな海都が電車に揺られていると、車窓に並走してくる車が見える。騒音を気にせず広海がガンガン音楽をかけている。追い抜け、追い越せ、海都は躍起になる。途中でガス欠する車は停車し、電車は先へ走り去る。

 底抜けに明るい広海は、こんなシチュエーションでも愉快に吹っ飛ばす。腕時計を海に投げ捨てた彼が、「夏はやっぱ海だね」と言う。直後にメインタイトル(ああ、これぞ月9!)。何と躍動感のある場面の運びだろうか。