超低金利時代で預金金利がほとんどつかない時代が続いている中、国が投資による資産形成を支援する制度を施行しました。それがiDeCoとNISAです。これらの制度をすでに利用している人も多いでしょう。しかし制度の内容を利用していない人の中には、iDeCoとNISAの区別がつかないために二の足を踏んでいるケースもあるのではないでしょうか。

そんな人は、まずiDeCoとNISAの違いがどこにあるかを知ったうえで、それぞれのメリットやデメリットを押さえることからはじめてみましょう。

iDeCoは国の個人型確定拠出年金制度

(写真=PIXTA)

はじめにiDeCoの基礎知識を確認します。

iDeCoの概要

iDeCoは、確定拠出年金法に基づく個人型確定拠出年金制度で国民年金に加入している20~60歳の人が加入できます。ただ国民年金保険料未納付の人、企業型確定拠出年金に加入している人など一部例外もあるため注意が必要です。加入は任意で自分で金融機関に申し込んで掛金額や運用方法を選びます。掛金の拠出は60歳までとなっており掛金額は5,000円から1,000円単位で設定することが可能です。

60歳を過ぎると年金や一時金を受け取れますが60歳時点で加入した年から10年未満の場合は受取開始時期が繰り下がり最長で65歳からとなるため注意しましょう。

iDeCoで老後資金を受け取る方法

iDeCoで形成した老後資産を受け取る方法は3つあります。

1. 一時金として受け取る
年金の受給権が発生してから70歳までの間に一括で一時金を受け取ります。

2. 年金として受け取る
5年以上20年以下の有期年金として受け取ります。

3. 一時金+年金で受け取る
受給権が発生した時点で一時金として一部の年金資産を受け取り、残りを5~20年以内の有期年金で受け取ります。

拠出額の上限

毎月の拠出額は、国民年金の第何号被保険者かによって上限額が異なります。

国民年金の加入状況 拠出額の上限(月額)
第1号被保険者(自営業など) 6万8,000円
第2号被保険者(会社員など) 1万2,000円~2万3,000円
第3号被保険者(専業主婦・専業主夫) 2万3,000円
iDeCoにおすすめのネット証券比較表
(2020年6月時点)
証券会社名 SBI証券 楽天証券 auカブコム証券 マネックス証券 松井証券
投資信託
本数
オリジナル:38本
セレクト:37本
32本 27本 25本 12本
加入手数料 ¥2,829 ¥2,829 ¥2,829 ¥2,829 ¥2,829
口座管理料 ¥171 ¥171 ¥171 ¥171 ¥171
サポート体制 平日・土曜の8:00~18:00
(※土曜は新規加入に関す
る問い合わせのみ受付)
平日10:00~19:00
土曜9:00~17:00
平日10:00~19:00
土曜9:00~17:00
平日9:00~20:00
土日9:00~17:00
平日8:30~17:00
特徴 ・iDeCo加入者数No.1で10
年の実績をもつネット証券
最大手
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ザーによって好みに合った
商品を選択できる
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「iDeCoシミュレーター」で
iDeCoを利用した場合の節税
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NISAは国の少額非課税投資制度

NISAは国の少額非課税制度で、「NISA(一般NISA)」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類あります。いずれも一定額までの投資で発生した分配金などの運用益が一定期間非課税となる点がメリットです。

NISAの概要(種類別)

まず、NISAの種類ごとの概要を表にしてみました。

NISA(一般NISA) つみたてNISA ジュニアNISA
利用できる人 日本在住の20歳以上
(口座開設年の
1月1日現在)
日本在住の20歳以上
(口座開設年の
1月1日現在)
日本在住の0歳~19歳
(口座開設年の
1月1日現在)
投資対象商品 株式投資信託、国内・
海外上場株式、
国内・海外ETF、
ETN(上場投資証券)、
国内・海外REIT、
新株予約権付社債
(ワラント債)
公募株式
投資信託および
上場株式
投資信託(ETF)
※長期の積立・
分散投資に適した
一定の投資信託
株式投資信託、国内・
海外上場株式、国内・
海外ETF、ETN
(上場投資証券)、
国内・海外REIT、
新株予約権付社債
(ワラント債)
非課税対象 上記の対象商品から
得られる配当金・
分配金・譲渡益
上記の対象商品から
得られる分配金・
譲渡益
上記の対象商品から
得られる配当金・
分配金・譲渡益
非課税投資枠 年間120万円 年間40万円 年間80万円
非課税期間 最大5年 最大20年 最大5年
投資可能期間 2014年~2023年 2018年~2037年 2016年~2023年
購入方法 自分で購入時期や
購入額を決める
自分で決めた
一定額が定期的に
自動購入される
口座開設者本人
(未成年者)の
二親等以内の親族
(両親・祖父母等)が
口座を管理し、
購入時期や
購入額を決める
 
つみたてNISAにおすすめのネット証券比較表
(2020年6月時点)
証券会社名 SBI証券 楽天証券 松井証券 マネックス証券 auカブコム証券
商品数 160本 158本 152本 150本 150本
売買手数料 無料 無料 無料 無料 無料
ポイント還元 Tポイント 楽天スーパーポイント
資産形成ポイント
松井証券ポイント マネックスポイント 毎月ポイント
サービス スマホアプリ
「かんたん積立アプリ」
でラクラク資産管理!
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普通預金金利が0.1%
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用可
・サポートサービスにつ
いて問合せ窓口格付け9
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でサポート
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産設計をサポート
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以上を見ると、3つのNISAでもっとも顕著な相違点は、非課税期間の違いと対象年齢であることがわかります。

つみたてNISAは非課税期間が長く、ジュニアNISAは未成年向け

NISAとジュニアNISAの非課税期間は最大5年、つみたてNISAの非課税期間はその4倍で最大20年となっています。その理由として、つみたてNISAが長期の少額投資に特化していることが挙げられます。

また、NISAとつみたてNISAは成人向け、ジュニアNISAは未成年向けとなります。同じNISAでもその点が異なる点には注意が必要です。

以上のことを理解した上で、今度はiDeCoとつみたてNISAの違いについて見ていきましょう。

iDeCoとNISAの違い

(写真=PIXTA)

iDeCoとNISAの違いは主に以下の3つです。

1. 税金控除の違い
2. 手数料の違い
3. 購入できる商品の違い

1. 税金控除の違い

iDeCoとNISAはともに税金控除がありますがその内容はかなり異なります。

iDeCo NISA
所得控除(掛金)
公的年金控除(年金受取)
退職所得控除(一時金受取)
運用益非課税(運用は60歳まで)
運用益非課税
(非課税限度枠および非課税期間あり)

特に大きな違いは所得控除の有無です。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり確定申告によって所得税や住民税が軽減されます。また60歳以降に年金で受け取る場合は公的年金控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除を受けられるなど税金控除のメリットが大きいのが特徴です。

一方、NISAは運用益が非課税となりますが、掛金などには控除が適用されません。そのため節税効果の面ではiDeCoのほうが優れているといえます。

2. 手数料の違い

iDeCoとNISAの違いは手数料にも出ます。

iDeCoの手数料 加入・移換時手数料(初回のみ):2,829円
加入者手数料(掛金納付毎):105円
還付手数料(その都度):1,048円
運営管理機関の手数料:運営管理機関により異なる
事務委託先金融機関(信託銀行)の手数料:信託銀行により異なる
NISAの手数料 口座管理手数料:無料
販売手数料:無料(ノーロード)の場合と有料の場合がある
投資信託の信託報酬:インデックスファンドは0.75%以下、
アクティブファンド1.5%以下

iDeCoの場合、初回に払う「加入・移管時手数料」や掛金の支払いごとに発生する「加入者手数料」、運営管理機関などに払う手数料などで数千円単位の手数料がかかります。一方NISAの手数料は一部投資対象商品にかかる販売手数料や投資信託の信託報酬などです。しかし、NISAの口座を開設する金融機関や投資する商品を選ぶことで手数料を非常に安く抑えられます。

そのため単純に手数料の安さで見ればNISAに軍配が上がります。しかしiDeCoの手数料は所得控除でカバーでき実質0円になるケースも多い傾向です。

3. 購入できる商品数の違い

購入できる商品数もiDeCoとNISAで異なります。iDeCoで買える商品は運営管理機関が提示する運用商品3~35商品です。一方NISAで買える商品はつみたてNISAが182本(2020年6月29日時点)、NISAやジュニアNISAも100本を超える商品の中から選べます。iDeCoやNISAで買える商品の種類は株式、債券、投資信託などですが選択肢の多さで言えばNISAのほうがメリットとしては大きいといえるでしょう。

iDeCoとNISAのメリット・デメリット

以上のことをふまえたうえでiDeCoとNISAのメリット・デメリットを表にしてみます。

iDeCoのメリット・デメリット

iDeCoのメリット・デメリットは以下のようになります。

メリット ・税金控除の恩恵が大きい
(所得税控除、退職所得控除、公的年金控除、運用益非課税)
・将来の年金や老後資金を増やせる
・手数料を税金控除でカバーできる
デメリット ・手数料が数千円単位でかかる
・最短60歳、最長65歳まで引き出せない
・国民年金未納者や企業型確定拠出年金加入者などは加入不可
・所得がない人は所得税控除の恩恵がない

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NISAのメリット・デメリット

NISAのメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット ・販売手数料や口座管理手数料がかからない
・非課税枠や非課税期間がある
・いつでも引き出せる
・選べる商品数が多い
デメリット ・所得税控除などの税金控除がない
・同じ年に1口座しか開設できない
・非課税期間や非課税枠を超えた分の利益は課税対象となる
・余った非課税枠を翌年に繰り越せない

■積立コースは毎日・毎週・毎月の3種類、NISA枠ぎりぎり注文で投資可能枠を使い切れる
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iDeCoやNISAをはじめようと思っている人は、以上のメリット、デメリットを理解したうえではじめるといいでしょう。

iDeCoとNISAは併用できるか?

(写真=PIXTA)

ところでiDeCoとNISAは併用できるのでしょうか。結論から言えば併用可能です。iDeCoは老後資産の形成に特化した制度、NISAは老後資金に限らず中長期の資産形成を目的とする制度であり、両者はまったく異なる性質を持っています。iDeCoとNISAの両方に共通するメリットは、対象となる投資商品が国によって厳選されていることです。

iDeCoとNISAで対象となる投資商品はいずれも元本割れなどのリスクが低く非常に少額から投資をはじめられます。そのため投資のリスクに不安を感じる初心者でも目的に応じて併用して資産を増やすことが可能です。

iDeCoとNISAどっちらをはじめればいい?

最後にiDeCoとNISAのどちらをはじめればいいかの判断材料について解説します。

iDeCoに向いている人 ・老後資金を増やしたい人
・将来受け取る年金を増やしたい人
・まとまった資金が必要なさそうな人
・老後資金を増やしながら税金控除を受けたい人
・国民年金だけの人(第1号、第3号被保険者)
NISAに向いている人 ・老後資金以外の目的で資産を増やしたい人
・中長期で資産を増やしたい人
・60歳前にまとまった資金が必要となる人
・投資初心者
・継続的に少額積立投資を行いたい人
・非課税の恩恵を受けながら投資したい人
両方に向いている人 ・税金控除や非課税で老後資金を含めた
自己資金を増やしたい人
・手持ちの資金に余裕がある人
・国民年金だけの人(第1号、第3号被保険者)

以上をふまえたうえで改めてiDeCoやNISAをどんな形ではじめるかを判断すればいいかを紹介します。

iDeCoを選ぶべき人

iDeCoを優先して選ぶべき人は、老後資金を増やすことを優先させたい人です。特に将来受け取る年金が国民年金だけの自営業の人は、掛金全額が所得控除の対象となるiDeCoを検討したほうがいいでしょう。また「十分な預貯金がある」「住宅の購入資金や子どもの進学費用などのめどが立っている」などまとまった資金が必要な予定がない場合も老後資金を増やす方法としてiDeCoがおすすめです。

NISAを選ぶべき人

NISAを優先して選ぶべき人は、近い将来まとまった資金が必要となりそうな人です。iDeCoは解約しない限り原則60歳前に引き出せないため、近未来に必要な資金の形成には向きません。またiDeCoの掛金納付期間まで数年しかない専業主婦(夫)の場合、所得税の控除がないうえに年金や一時金の給付時期も最長65歳まで繰り下げられます。

そのような人で現在あまりお金に余裕がない場合は、いつでも引き出し可能なNISAを優先させて老後資金の不足をカバーしたほうがいいかもしれません。

併用すべき人

両方併用すべき人は、自営業などの国民年金第1号被保険者です。第1号被保険者は毎月の拠出限度額が6万8,000円ですがそれだけでは老後の生活が成り立たないケースもあるでしょう。その不足分を埋める目的でNISAを併用すると老後資金を増すことができ、なおかつ急な支出にも対応することが期待できます。また現在お金に余裕がある人も資産を増やす目的でiDeCoとNISAを併用するといいでしょう。

iDeCoとNISAの違いを知って上手に利用しよう

iDeCoは、老後資金を増やすための公的年金制度であり掛金が全額所得控除になるため節税効果が高いことは大きなメリットです。少々手数料は高めですが所得控除でカバーできる面もあります。一方NISAは安い手数料で少額から投資できる少額非課税投資制度であり、こちらも税制面の恩恵が大きいでしょう。

投資で増やす資金は老後資金だけではなくその他の用途にも自由に使えるメリットがあります。iDeCoとNISAは併用できるため、必要に応じて併用しながら上手に利用してみてはいかがでしょうか。

 
文・大岩楓
元銀行員ライター。預金・為替業務に長く携わった経験をもとに、節約などの記事を多数執筆。現在はジャンルを広げて教育系の資格を生かした記事まで幅広く執筆。

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