そう遠くない未来の物語。主人公となるソール・テンサー(ヴィゴ・モーテンセン)は、「加速進化症候群」という特異な体質の持ち主だ。自分の体内で次々と生み出された新しい臓器を、パートナーであるカプリース(レア・セドゥ)がタトゥーを施した上で摘出し、公開するという前衛的なパフォーマンスで人気を集めている。
クローネンバーグ作品らしく、腫瘍フェチ、内臓マニアぶりが、これまで以上に発揮されている。何といっても、公開手術シーンがとても官能的だ。ソールのお腹を切り開き、臓器をご開帳する場面は、セックス以上のエクスタシーを感じさせる。
内臓レベルから、人類は進化・変貌を遂げていくことになる。クローネンバーグ監督にしか描くことができない禁断の世界から、我々は目を離すことができない。
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