個人投資家から絶大に人気を集める株主優待や、「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」や「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」といった制度が登場したことに加え、銀行の預金金利が超低金利の状態が長く続いていることもあり、投資に興味を抱く人が増えてきている。
投資専用の口座を開設しよう
これから投資を始めようと思うのであれば、生活資金や貯蓄を取り崩さずにすむように、生活資金と投資資金を使い分けることをすすめる。
取り扱っている商品などを事前に調べて、希望の商品を取引できないという最悪の事態は避けられるように、複数の証券会社に口座を開設しておこう。
筆者の経験上、証券会社に口座を開設して取引を始めてしまうと、他の証券会社に変更する作業はとても面倒であり、口座開設をしてみたが希望の金融商品が取引できなかったということもある。
以前はパソコンでの取引だったが、最近はパソコンに加え、スマートフォンやタブレット端末を利用して取引することも多い。
証券会社を選ぶポイントとしては、①各種手数料の水準、②商品の品揃えやサービス、③アプリの使いやすさや見やすさ、が挙げられる。
ポイント1:各種手数料
まず各種手数料の水準からみていこう。たとえば、株を売買する時には売買委託手数料がかかる。証券会社に口座を開設することが初めての場合には、取引の前にお金を入金しなければならず、振込手数料がかかる場合もあるだろう。この二つの手数料中心に、口座を開設する証券会社を選択すればよいだろう。
最近は、取引する株式の代金にもよるが、10万円程度の取引であれば1回の取引にかかる手数料は100円程度と非常に安くなっている。
よほど割高な水準の手数料でなければ激安にこだわる必要はなく、サービスなど使いやすさで選べばよいだろう。また、NISA口座での取引にかかる手数料を無料にしている証券会社もある。どの口座を利用する予定でいるのかをあらかじめ考えて、証券会社を選択したい。たとえば、10万円までの少額で、かつ一日の売買回数が多くない場合には、松井証券では一日の合計取引金額が10万円までは手数料がかからない。
また、自分の口座に入金する際に、無料で即時に入金できるサービスを提供している証券会社も多い。コンビニエンスストアなどのATMに行って入金する方法のほか、振込で入金の手続きも行えるが振込手数料が発生する。振込手数料分がかかった場合には手数料を負担してくれるサービスを行っている証券会社もある。超低金利の現在、振込手数料もバカにはならないので事前に確認しておこう。
ポイント2:商品の品揃えやサービス
投資できる金融商品は株だけではない。たとえば、2017年から始まった「iDeCo」や、2018年から始まった「つみたてNISA」では、基本的には投資信託を購入する。
これらの制度を利用するかしないかに関わらず、取り扱っている投資信託が多いほうが選択肢は豊富なわけだから、少ないよりは多いほうがよい。また、たとえば、米国株に投資したいと考えている場合には外国株の取り扱いも確認しなければならない。日本株でも地方の証券市場に上場している銘柄を取引できない証券会社もあるので、そうした銘柄への取引を検討している場合には注文が可能であるかは事前に確認しておきたい。
ポイント3:アプリの使いやすさ
最近は、パソコンを持っていない人も多いので、スマートフォンやタブレット端末で取引する人が多いだろう。はっきり言って、取引をしてみないとアプリの使いやすさはわからないだろうから、まずは口座の開設は無料なので気になる証券会社は口座を開設しておこう。
最近は無料のアプリでも表示できるチャート(株価の動きを表した表)は充実しているので、口座を開設して損することはない。アプリをいろいろ使ってみて良さそうなところをいくつか決めたら、ポイント1と2を重視して、入金する証券会社を選べばよいだろう。
筆者も複数の証券会社を利用している。十数年前はインターネットでの取引が始まったばかりで取引手数料が高かったこともあって、数多くの証券会社に口座を開設したわけだが、その時の中から使いやすい口座は今でも利用している。
その後、取引手数料の値下げが積極的に行われたおかげで、投資を始めやすい環境が整っていると言えるだろう。取引する画面が利用しやすいか、取引したい商品があるか、チャートは見やすいか、という視点で証券会社を選んで頂きたい。
文・横山利香(CFTe、ファイナンシャル・プランナー)
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