若いうちに加入すると生涯にわたり保険料が安い

医療保険の保険料を算出する際は、被保険者の属性や予定利率、予定事業費率などさまざまな要素が考慮され、その中には被保険者の年齢も含まれる。基本的には被保険者の年齢が上がるにつれ入院するリスクが高くなるわけだから、保険料は年齢に比例して高くなる。

定期医療保険の場合は、更新時の年齢に応じて保険料を算出するため、更新のたびに保険料が上がってしまう。若い頃と同じだけの保障を受けようと思うと、資金力が低下する老後に高い保険料を払わなければならないのだ。

これに対して終身医療保険には更新がなく、保険料が上がることはない。医療保険の保険料は年齢に比例して上がるから、若いうちに加入しておくと保険料はそのままに年齢を重ねてからも同じ内容の保障を受けることができる。

例えば、35歳男性が入院日額1万円を主契約とする終身医療保険に加入すると仮定する。

手術給付金など具体的な保障内容は商品によって異なるが、月額保険料はアフラック生命保険株式会社の『ちゃんと応える医療保険EVER』で3230円、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社の『新・健康のお守り』で3327円となる(2018年4月現在)。そしてこの保険料は、90歳になっても100歳になっても変わらない。高齢になってからも月額3000円程度で入院日額1万円の保障を受けられるというのは、非常に魅力的であろう。

また終身医療保険は、「60歳払済み」「10年払済み」というように一定期間内に保険料を払い終え、以後の支払いを不要にすることも可能である。

安い保険料のまま生涯にわたり保障を受けられたり、老後の保険料負担を抑えることができたり、と終身医療保険には保険料面においても大きなメリットがあるのだ。

健康状態が悪化しても保障内容は加入時のまま

終身医療保険は、加入期間中に健康状態が悪化しても保障内容が変わることはない。繰り返しになるが、このタイプの医療保険は保険期間が限定されていないため、契約が続いている限りは保障が継続するのだ。

これに対して定期保険の場合、更新限度年齢に達すると契約の更新をすることができない。そのため他の生命保険に乗り換える必要が出てくるが、健康状態や年齢によっては保険に加入できない場合がある。

終身医療保険にはデメリットもある

保障が一生涯続く上、保険料が上がることもない終身医療保険。いいことずくめのようにも思えるが、デメリットがないわけではない。医療保険選びにおいては、終身保険のデメリットについてもしっかり把握しておく必要がある。

インフレリスクがある

終身医療保険には、インフレリスクが潜んでいる。インフレとは「インフレーション」の略で、物価の上昇によって貨幣価値が下がる現象のことをいう。

やや極端な例ではあるが、インフレが起こることによって貨幣価値が半分になってしまったと仮定する。すると、入院日額1万円の医療保険に加入していても、インフレ現象下では入院日額5000円分の価値にしかならないのだ。

日本は1990年代半ば以降デフレ状態が進行しているが、将来的にインフレが起こる可能性がないわけではない。高度経済成長期のように日本経済が爆発的に成長するようなことはやや考えにくいが、数十年単位で考えた場合にこういったリスクがあることだけは理解しておく必要があるだろう。