クアッドボールへの熱量や、チームを勝たせるための明確なビジョンが評価され、今年監督に就任。海外チームの映像を日夜見漁り、戦術をとことん研究した。日本代表としてワールドカップでの勝利を目指し、一からチームを作り上げてきた。
「とにかく、世界でも戦えることを証明したいと考えて、日本の強みであるスピードを最大限に発揮できる戦術を練ってきました」
そしてついにその瞬間は訪れた。4連敗で迎え、負ければ敗退が決まるノルウェー戦。降りしきるゲリラ豪雨の中、序盤から箒星JAPANは積極的に相手陣地へ攻め入る。キャプテンの小山耕平選手を中心に、相手のボールを積極的に奪いに行くハイプレス戦術を敢行。相手の攻撃の芽を早めに摘み取り、そのまま日本の得意とする速攻で試合を支配する。
多国籍のサポーターで埋まる客席も日本のプレースタイルに魅了されていく。客席からは自然と、「ニッポン」コールが起こった。
そして、日本が120対50で迎えた18分、金のスニッチ(マジックテープで取り付けられた尻尾)をつけた中立のプレイヤーがピッチに放たれる。このスニッチを、両チームの「シーカー」と呼ばれる『ハリー・ポッター』で主人公のハリーが務めたポジションの選手が奪い合う。
激しい攻防戦の末、井出大輝選手が見事スニッチをキャッチし、日本代表は初勝利を収めた。ピッチ上で抱き合う選手たち。リザーブを含めた25人の選手、そしてスタッフたちに、会場からは大きな拍手が送られた。
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