こういった一度バッドエンドの結末を見せた後で時間を遡り、人生をやり直すストーリーは近年流行っている手法だ。かつては筒井康隆の小説『時をかける少女』のようなSF作品に特化したアイデアだったが、近年ではジャンルを問わず採用されているゲーム的な見せ方で、映画『東京リベンジャーズ』や、冬クールに放送されたテレビドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が、うまく活用し話題となった。
第1話では、鵜久森叶がクラスメイト全員にいじめられている証拠となる映像と音声を九条が突きつけ、鵜久森を九条が守ると宣言し、生徒たちと全面対決を決意する場面で物語は終わった。いじめの首謀者だけでなく見て見ぬフリをする傍観者の生徒たちの無自覚な加害性を徹底的に描くことで、誰の中にもある人間の醜悪な本性を炙り出していく見せ方は『3年A組』なら終盤で描いたストーリーで、ここで最終回でもおかしくない異常な盛り上がりだったが、これを第1話で描くということは、まだまだ別の切り口が用意されているのかもしれない。
基本的な流れは、一人ひとりの生徒の問題をピックアップしていく『3年A組』の見せ方を踏襲していくと同時に、九条がタイムリープを繰り返しながら自分を殺そうとした犯人を見つけ出すSFミステリー的な物語となるのではないかと思うのだが、一方で、九条が夫の蓮(松下洸平)から離婚を突きつけられるなど、火種が多数ちりばめられているため、これからの展開が楽しみである。