証券企業の平均年収は他の業種の5倍、2割以上が最低年収25万ドル

しかし不調だった債券トレーダーの報酬でさえも、一般企業の従業員と比較すると、けた違いの数字である。

2016年のデータによると、ニューヨークの証券企業の平均年収は他の業種の5倍に値する37.5万ドル。最低25万ドルを得ている割合も証券企業は23%だが、他の業種では2%と大きく差が開く。

米シンクタンク、インスティテュート・フォー・ポリシー・スタディーズの国際経済プロジェクト・ディレクター、サラ・アンダーソン氏は、「2008年の金融危機につながった無謀なウォール街の報酬文化が、今なお健在であることを示している」とし、「それが米国における所得格差の原因にもなっている」とコメントした(USニュース2018年3月26日付記事)。 

またウィリアム・ダドリーニューヨーク連邦準備銀行総裁は3月に演説を行った際、報奨制度が健全であるよう呼びかけている。不健全な報酬制度がウェルズ・ファーゴの不正口座開設問題を招いたことは記憶に新しい。「不健全な報酬制度は大規模なリスク・エクスポージャーおよび市場超過を引き起こすだけではなく、金融システムの信頼と自信をむしばむ」と警告を発した。

一方ディナポリ会計監視官は、「過去2年にわたる収益性の大幅な増加は、証券業界が金融危機後の規制強化に抑制されることなく繁栄できると証明している」と、自らの見解を述べた。

ニューヨーク州税の18%、市税の6%は証券業界から徴収

ウォール街の繁栄は、それを収入源とするニューヨーク全体が潤うことを意味する。2016年度  のニューヨーク州税の18%に値する135億ドル、2017年度の市税の6%に値する32億ドルが、証券セクターから徴収されたとディナポリ会計監視官は見積もっている。

ニューヨークの新規雇用の10%は、直接的あるいは間接的に証券業務に関連している。ウォール街での雇用は市全体のわずか5%にもかかわらず、市のプライベートセクターの給与の20%以上を占めているそうだ。

新規雇用率は3年連続で伸びを示した後、2017年は若干減少。金融危機前の水準よりも6%少ない。対照的にほかの業種の雇用は23%増えた。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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