また、デヴィ夫人はコクトーを引き合いにジャニー氏の行為を擁護したが、愛人のマレーはコクトーと出会った時点で20代前半の成人であり、年齢差もジャニー氏と10代前半の未成年タレントとの差と比べれば大きくはない。しかも、先日、服部吉次氏と松崎基泰氏が告発した内容によれば、10歳に満たない児童の被害者がいた可能性も高い。そのため、SNS上では「同性愛と未成年への性的虐待をごっちゃにしている」「ジャニー氏は立場を利用した性加害だから問題なのであって、明らかに論点のすり替え」といった声も寄せられている。

 ジャニー氏については、ミュージシャンの山下達郎も9日に出演したラジオ番組にて、性加害問題に触れる中で「ジャニー氏への恩義」を強調したことで物議を醸した。「ジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと、社会的、倫理的な意味での性加害を容認することはまったくの別問題」として、「数々の才能あるタレントさんを排出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は今も変わっていません」「(ジャニー氏が育てた)すばらしいタレントさんたちやミュージシャンたちとのご縁をいただいて、時代を超えて長く歌い継いでもらえる作品を作れたこと、そのような機会を与えていただいたことに心から恩義を感じています」と話し、ジャニー氏を擁護しているのではないかと波紋を呼んだ。

 ジャニー氏のプロデュース能力や人柄に関しては、被害を受けたとする男性の中からも「感謝の気持ちを今でも持っている」という声が上がるなど、デヴィ夫人や山下が言うように賞賛すべき部分はあったのかもしれない。しかし当然ながら、事務所の社長という強い立場を使って未成年の所属タレントに対して性的な行為に及んでいたのであれば、いかに人柄や能力が優れていたとしても許されることではない。

 結果、山下・デヴィ夫人の両名とも炎上に至ったが、山下の場合は「ジャニーズ事務所の内部事情など預かり知らぬこと」とし、性加害問題と切り離したうえでジャニー氏の人柄を褒めつつ「恩がある」と発言していた。だが、デヴィ夫人は「日本中が知っていること」としてジャニー氏の行為があったことを前提にしながら、被害を訴える人らの告発を「恩をあだで返している」「恥ずかしい」などと否定したため、より批判が強まっている部分があるようだ。

 人権理の調査によって、ジャニー氏が歴史に残る性犯罪者として世界に記憶される可能性もある。また人権理からの調査や勧告の内容次第では、日本政府なども本格的に動く可能性があるが、そのような状況下でもデヴィ夫人は「ジャニー氏擁護」のスタンスを続けていくのだろうか。