エクCEO「Spotifyが平凡な企業だったことはない」

上場の常識を覆す可能性を秘めたSpotifyとは、そもそもどのような企業なのか。Spotifyは無料で音楽ストリーミングを提供するかたわら、海賊版の締めだしに力を入れてきた。著作権問題がつきまとうダウンロードに代わり、遅延のないストリーミングを実現することで、市場の需要を急激に拡大。世界最大の音楽ストリーミング企業に成長を遂げた。Facebookとの提携も需要を押し上げた要因のひとつだろう。

またユーザーが音楽を聴いている合間に広告を流すというラジオと似た広告モデルを構築し、広告収入につなげることで、誰でも利用できる無料のストリーミングサービスを可能にした。

事業規模が成長するにつれ、利益重視に走る企業が多い中、Spotifyは上場を通して他社とは一線を置く構えだ。

Spotifyのダニエル・エクCEOは上場前日の4月2日、上場の機が熟したとの見解を自身のブログで示した。興味深いのは、上場に漕ぎつけた事実を誇りに感じると認める一方で、上場が自社にとって最終目標ではないと強調している点だろう。エクCEOいわく、上場は成長を促す上で重要なステップではあるがSpotifyの本質を変えるほどの影響力はなく、本当に重要なのは上場後も成長を続けていけるかどうかである。

「Spotifyが平凡な企業だったことは一度もない」という同氏の言葉通り、同社は音楽産業に活気を呼び戻した。

ウォール街への反発心も長くは続かない?否定派の意見

しかしこうした型破りな上場への市場の反応は様々だ。金銭よりも価値を追求するエクCEOの動きを、「ウォール街への反発心」「Facebookのようにウォール街に屈するのは時間の問題」という否定的な意見も聞かれる(WIRED2018年4月3日付記事)。

冷徹で実利主義的なウォール街のやり方に、反発心を露わにするIT企業は少なくない。Googleは2004年、最高値から段々と呼び値を下げていき、最初に買い手がついた価格で売買が成立する「ダッチオークション」形式の上場を行った。投資家だけではなく一般ユーザーの上場参加を狙ったものだが、期待したような効果は得られなかった。

いくら型破りな方法で上場しても、投資家はこれらの企業をほかの上場企業と同じように扱う—というのが否定派の見解だ。

Spotifyの株価は上場当日、165.90ドルを付けた後、140ドルへと落ち込んだ(CITYAM2018年4月4日付記事)。2018年4月25日現在は終値150ドル以上を維持している(Plus500データ)。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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