◆若者向け恋愛リアリティショー×古き良きベタ展開

 本作は“月9の恋愛ドラマ”らしくターゲットを若年層に絞っている印象。今の若者は複数人の恋模様が進んでいく様子を、恋愛リアリティショーで見慣れている。“様々な登場人物の恋心を、スピード感を持たせて見せたほうが若者に好まれる”ということを見越しての構成なのではないか。

 メインどころがくっつかくっつかないかを10話ほどかけて見せる、という“従来の恋愛ドラマ”ではなく、時代にチャンネルを合わせてアップデートしようという気概が伺えた。

 と同時に、難癖をつけたチンピラに絡まれて守が慰謝料を請求されたり、花火の音に驚いて理沙が海に落ちたりなど、平成を通り越して昭和の香りさえ漂うベタなシーンが少なくないのも本作の大きな特徴である。

 特に印象的だったのが、匠が夏海との約束に大遅刻するところ。匠は夏海のいる飲食店に向かっている道中、自転車が壊れて困っている佳奈に遭遇。日が落ちるまで修理をして大遅刻するのだが、「どんだけ修理に手間取るんだよ」と思わずツッコみたくなる部分も月9の恋愛ドラマらしい。新しい要素と古き良き要素のハイブリッドが楽しめそうだ。