◆忖度なく角界のタブーに切り込んだ内容

 ただ、熱い展開だけが『サンクチュアリ』の人気を集めた理由ではない。本作は相撲がテーマとなっているものの、日本相撲協会は非協力。つまりは角界というまさに“聖域”に忖度(そんたく)なく切り込んだストーリーも魅力の一つである。静内(住洋樹)が大関の龍貴(佳久創)の連勝記録を塗り替えるのを阻止するため、龍貴の所属する龍谷部屋のタニマチ・伊東(笹野高史)が八百長を企てるなど、刺激的なシーンが多い。

 週刊誌が大相撲の八百長問題を暴いた過去があり、いくらドラマといえども、日本相撲協会にとって八百長を計画するシーンが流れることは穏やかではないはず。タブーに真正面からぶつかったドキュメンタリー的な側面も持ち合わせていることが、これだけの注目度につながったのだろう。

◆もう一度観たいと思わせる“裏話”

 また、裏側が気になってしまうことも沼ってしまう要因である。

 出演する“力士役”は全員身体が仕上がっており、「役者は本当の力士なのか?」とキャスティングが気になる。さらには、稽古や取り組みのシーンも激しくぶつかっており、ドラマでありがちなカメラワークで殴り合っているように見せかける、という手法は使えない。「稽古のシーンは本当にぶつかっているのか?」「デジタル技術を活用しているのか?」など、どのように撮影したのかも知りたくなる。

 そんな欲求を見越してか、YouTubeには出演者が舞台裏を話すインタビュー動画が多くアップされている。まずテレビプロデューサーの佐久間宣行がインタビューとなって一ノ瀬とピエール瀧が話す動画では、肉体改造から撮影まで制作期間が2年半だったこと、1シーンを様々な角度から撮影するために3日間も費やしたことなど、想像以上の手間暇がかかっていたことを明かす。

 また、一ノ瀬はたどたどしくなるシーンがちょくちょくあったが、その度にピエール瀧がツッコミを入れてフォローするなど、その場でも“師弟関係”が見られたことが微笑ましかった。