人生が顔に反映される?笑顔=裕福にみえるわけではない

つまり、総体的に満ち足りた人生を送っている人は、普通の表情を浮かべていても幸福感や充実感が顔ににじみでている—ということだ。あくまで一般論だが、経済的に余裕のある人ほど日常的なストレスが少なく、幸せに暮らせる=それが顔に現れているものと推測される。しかし笑顔さえ浮かべていれば、裕福にみえるというわけでもないようだ。

次の実験であからさまに幸せそうな表情の写真を150人の参加者にみせたところ、階級の区別がつきにくかったという。これは裏を返すと無意識下でこそ、社会経済的地位が顔に現れやすいことを示唆している。

また、「会計士の職につきそうな顔」を選ばせる実験では、75人の参加者のうち、裕福な層の写真を選ぶ参加者が圧倒的に多かった。

これらの実験結果は、顔と社会経済的地位の関連性を決定づけるものではないものの、「長年歩んできた人生が、鏡のごとく顔に反映されたとしても不思議ではない」と思わせる説得力がある。

ビリオネアに当てはまる?人相学「富裕相」の特徴 

以上の実験は心理学の観点から実施・分析されたものだが、古代から受け継がれてきた「人相学」との関連性を感じさせる。人相学は顔の形や目鼻立ちなど遺伝子的要因が大きいものかと思われるが、人生や感情が顔の相を作るのであれば、ある程度後天的な変化も可能ではないだろうか。

欧州では古くから人相学の研究が盛んに行われてきたが、アリストテレスが古代ギリシャでその基礎を築いたといわれている(Oxford Dictionariesより)。 

人相学で「富裕相」とされるのは、四角い顔、しっかりしたあご、鼻翼が広がり筋の通った鼻だそうだ(Askaur.com2016年6月21日付記事)。 確かにウォーレン・バフェット氏やアマンシオ・オルテガ氏、デイビット・コック氏、チャールズ・コック氏、カルロス・スリム・ヘル氏といったビリオネアは顔が四角く、あごもどっしりとしている。またビル・ゲイツ氏やバフェット氏、ジム・ウォルトンしなどは、はっきりと鼻翼が広がっている。表情も常に自信にあふれ、ポジティブな印象をあたえる。

英人材派遣サイト「MyJobGroup.co.uk」のマーケティング・ディレクター、マーク・ライリー氏は、「事業の成功は複数の要因によるものだが、顔の特徴もそのうちのひとつ」と述べている。人相学によると、独特の肉体的特徴は強い個性を象徴する。強い個性の持ち主は、事業で成功しやすい素質を備えているという理論だ。

もちろん、「富裕相」だからといって、成功が保証されているわけではない。ライリー氏いわく、成功できるかは顔の特徴よりも、「最適な時に最適な職についていたかどうか」に大きく左右される(ビジネスインサイダー2011年4月13日付記事 )。