【魅力その3】これも外せない!食で得られる「喜びの分かち合い」!

 さらに魅力を述べるとすれば、それは食を通しての「喜びの分かち合い」もに他ならない。

 食には二つの喜びがある。一つは当然「食す喜び」。しかし食事が腹を満たす為だけのものであるならば、美味い料理は独り占めしてしまえば良い。しかし我々は、なぜか不思議と美味い料理ほど人に勧め、分かち合い、共有してしまう。なぜならそこに、食事を「分かち合う喜び」があるからだ。

 本作品に出てくる料理は、何も特別なものではない、普段我々が食している料理ばかりである。しかしこれらの料理を作中のキャラクターが初めて食べ、その味を知り、満足げな顔をする度に、不思議と読み手の顔にも笑顔が溢れてしまう。これは自分の好きな味を知ってもらう喜びに他ならず、キャラクターを通じて改めてその料理の素晴らしさを自らも再確認しているのだ。

 この美味い料理を「食す喜び」と、「食を分かち合う喜び」の二つが表現されているからこそ、本作品は他料理マンガと一線を画す魅力を有しているのである。