ひと昔前まで私たちはモノを手に入れることで満たされ、さらに自動車・時計・ジュエリーなどの高級品を所持することはステータスとされてきました。では私たちは本当にモノで満たされ、モノから“幸せ”を得ることができるのでしょうか――近年、そんな疑問が広がりつつあります。
今、世界の億万長者たちの価値観は
モノがあふれる時代に、世界の億万長者たちはどのような価値観で、どのような生活を送っているのでしょうか。
20代で億万長者となった米フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏が、控えめな乗用車に乗り、ごく一般的な家に住んで世間並みの生活を送りながら、慈善団体を通してさまざまな寄付活動に取り組んでいることは有名です。
ザッカーバーグ氏とともにハーバード大学でフェイスブックを創業し、アメリカの経済誌「フォーブス」が選ぶ『世界一若い億万長者』になったこともあるダスティン・モスコヴィッツ氏も、「モノから幸せを得ることはできない」と述べました。
変化する私たちの価値観
先進国として成長してきた日本ではどうでしょう。高度経済成長期におけるテレビ、洗濯機、冷蔵庫にはじまり、クルマやパソコン、ブランドものの衣類やバッグ、最近ではスマートフォンなどさまざまなモノを手軽に手に入れられるようになりました。
一方で物欲を満たしたところで、ある程度までしか満たされない、あるいはモノを手にすることが必ずしも幸せとは限らないと人々は気づいたのでしょうか――かつては主流だった“モノを信奉する価値観”は、時代が進むにつれ変化しているようです。
消費対象は「モノ」から「コト」へ
「モノ」の消費に代わり、趣味や旅行などの特別な時間や体験、サービスや人との関わりを大切にすることに価値を感じて、近年では「コト」の消費にシフトしていると言われています。遊びや学びなどの体験を重ねることで、充実した生活を送りたいといった心理が働いているようです。
最近は、スマートフォンの普及によりインターネットへのアクセスが手軽になったため、個人がSNSでさまざまな情報を発信できるようになりました。
個人のメディア化が進み、消費者がこぞってインターネットで発信するためのコンテンツ作りに興味を持ちはじめている点も、コト消費をさらに進める要因になっていると言えるでしょう。