持ち家を手放して公営住宅へ居住する注意点

持ち家を手放して公営住宅へ入居する際は、次の3点に注意しましょう。

● 贈与税の支払い
● 売却する場合の譲渡所得
● 公営住宅の倍率

贈与税の支払い

子供に住宅を贈与すると高額な贈与税が課されてしまうため、贈与の際には相続時精算課税制度を利用しましょう。

相続時精算課税制度とは、生前に贈与した財産を相続財産とみなし、被相続人が死亡した後に相続税の申告をするというものです。

そのため、税金が安くなるわけではないとはいえ、高額な贈与税をすぐに支払う必要はありません。

売却する場合の譲渡所得

不動産会社などへ持ち家を売却する場合、売却益は譲渡所得になります。

譲渡所得も所得としてカウントされるので、場合によっては公営住宅入居のための所得制限を超えてしまい「所得が高すぎて入居できない」ということになりかねないので注意しましょう。

譲渡所得は次のように計算します。

譲渡所得 = 譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)

古い建物の取得費は、土地建物の購入金額から建物の減価償却費を控除した金額になります。

建物が古く耐用年数が経過している物件であるにもかかわらず、土地の評価額以上の金額で売却できた場合には、譲渡所得が発生する可能性があるので、事前に不動産会社に確認するようにしてください。

公営住宅の倍率

持ち家を売却して公営住宅への居住申し込みをしたとしても、本当に入居できるかは分かりません。

家賃の低い公営住宅は非常に人気で、例えば港区の公営住宅の中には入居倍率50倍を超えるようなものもありますし、都内の公営住宅は軒並み高倍率です。

つまり、せっかく持ち家を手放しても、居住できる確率が非常に低いのが実情です。

首都圏や近畿圏、また政令指定都市や中核都市などの人気エリアは公営住宅の倍率が高くなっているので、実際に住宅を手放す前に入居できる状況かどうかを必ず確認するようにしてください。

公営住宅への入居を検討しているなら事前準備が不可欠

自宅を手放せば公営住宅へ入居でき、住居費用を節約することが可能です。

しかし、贈与税や譲渡所得には十分注意する必要がありますし、公営住宅の倍率は非常に高いので本当に入居できるかどうかは不透明です。

入居を検討する方は、必ず事前に譲渡所得がいくらになるのか、倍率はどの程度かを確認した上で住宅を手放してください。

文・fuelle編集部