そればかりか、「3年前に行方不明になり、突然車両ごと現れた乗客たち」とニュースを騒がせた彼らは、好奇の目に晒されてしまう。しかも、6号車の乗客で、5号車のタイムワープに強引に入り込んだ植村憲正(ウエンツ瑛士)と加古川辰巳(西垣匠)が動画配信者のインタビューに応じ、“自分たちはこれまで未来にいて、この12月に世界が一変する”と話したせいで、乗客たちは世間から変人扱いされていく。そして乗客たちの写真や経歴などの個人情報がネットで拡散されてしまい、萱島直哉(山田裕貴)も弟・達哉(池田優斗)の過去の犯罪歴が暴かれてしまった。高校の体育教師だった畑野紗枝(上白石萌歌)は「生徒や保護者の方が不安だろう」という理由で復職させてもらえず。ネイリストの渡部玲奈(古川琴音)も、2060年でいい雰囲気になっていた明石周吾(宮崎秋人)が実は既婚者だったことを妻の直撃によって知らされ、妻に言い返す様子がネットで配信されてしまった。
美容師の直哉にはさらに別の問題が。ワームホール発生時の磁気のようなものに触れた影響か、右手の握力が失われ、ハサミが持てなくなっていた。ネットで“特定”されたことで「イケメン美容師」ともてはやされ、店に野次馬が集まるようにもなる。萱島兄弟と縁の切れている母親(嶋村友美)は、直哉が有名になったのをいいことに動画配信者のインタビューに対し「生活は苦しかったんですけど、3人で必死にやってきました」「自慢の息子」などと嘘をつく。直哉は店を離れることを決意し、さらに自分の部屋も達哉に譲って出て行ってしまう。
居場所を失っていく直哉は街で偶然、優斗と出会う。優斗は人類を救うため、大災害の危機を広く訴えたいとして「一緒に声を上げよう」と直哉を誘うが、「助からない」と悲観的な直哉。現実の世界が「最低でクソみてえなところ」と絶望した直哉は、2060年に戻りたいとこぼし、「命が助かっても、救われないんだよ」と嘆く。そんな直哉に、今度は紗枝が連絡する。連絡先を知って直哉に電話した紗枝は、「こっちに戻ってきて、ひとつだけわかったことがあります。萱島さん。あなたのことが気になります」という、告白とも取れる言葉をかけるとともに直哉を心配するが、直哉は「俺はもうあんたのことなんか忘れた。あの車両のことも、未来どうのこうのも、もうどうでもいい」と言って電話を切ってしまった。
消防士の優斗は、自分のミスで半身不随の重傷を負わせた先輩隊員・高倉康太(前田公輝)と再会。高倉は、3年が過ぎてなんとか立ち上がって歩けるまで回復したことをアピールしたうえで、「やっと言える。俺はもう、大丈夫だ。だから、前に進め。乗り越えろ」と伝え、この言葉を胸に優斗はますます消防士の仕事に邁進する。だが、「イケメン消防士」と持ち上げられた優斗のもとにも、心ない動画配信者や野次馬が現れる。危険な火災現場であるにもかかわらず集まる人たちに注意するが、まるで言うことを聞かない。優斗と一緒に映ろうとする動画配信者を振り払おうとして、野次馬女性のひとりが巻き込まれて倒れてしまう。すると、動画配信者は「今、白浜優斗が罪のない一般人を突き飛ばしたー!」と声を上げ、野次馬から「謝れ!」と怒声が鳴り響く。優斗はついに他の隊員から下がってろと言われてしまう。