2020年3月開業した【ザ・ホテル青龍 京都清水】は昭和8年(1933年)に竣工した元清水小学校を改修して、ちがう用途に造りかえる「コンバージョン」を実施。当時先進的だった鉄筋コンクリート造りの建物を保存活用した高級ホテルです。古い建築様式を端々に残しつつ、生まれ変わった上質な空間は、京都で泊っておきたいホテルの1つと言えます。

京都の守護神が見守るホテル

ホテルの名前は、平安朝の時代から京都の東西南北を護る四神のうちの東の神獣、青龍に由来。清水寺ともかかわりが深く、音羽の滝に水を飲みに夜ごと降臨したとの伝説が残ります。地元の方にもなじみの深い言い伝えです。

▲清水寺へと続く清水坂から一歩入ると、洋風のノスタルジックな建物が現れます

石畳は小学校のグランドだった場所。当時の面影がよく残る南側(写真右手)の元校舎には、正面扉の上に時計の丸い跡が残ります。

▲フロントロビーは、クラシックホテルを思わせる上質な佇まい

レセプションのある南側の建物は、校長室や職員室、会議室のあった場所で、北と東の建物は生徒たちの教室です。

▲かっての校庭は、緑豊かな庭に生まれ変わりました

築90年になる小学校の歴史ある建物を最大限残し、新たに増築された箇所は影のように黒く色分けされています。ガーデンの一角には、ミシュランの星付きレストランを展開するアラン・デュカスが設立したデュカス・パリ監修によるフレンチレストラン「ブノワ 京都」があります。

▲小学校時代からの大階段は、ホテルのシンボルになっています

大階段は小学校当時の姿を残しながら、石を新しく張り替えました。中央には京都出身の石彫作家、樂雅臣氏の「輪廻 青龍」を設置。古くから京都の経済を支えてきた織物の道具“シャトル”や時計の針、日時計をイメージしています。

元小学校は傾斜地に建っていることもあり、建物は4階建てですが1階の面積は狭く、2階と3階がコの字につながる変則的な構造です。

▲小学校時代からある郵便ポストもガーデンの一角に残ります

昭和8年、皇太子殿下(上皇陛下)御誕生記念として地元の有志が植樹したオガタマの木(写真左)は、京都市立小学校・幼稚園銘木百選に選ばれています。

教室をコンバージョンした客室

客室タイプや間取りが多彩なホテルです。教室をコンバージョンした客室をはじめ、新たに増築した客室もあり、ガーデンビューや「八坂の塔」が見られるパゴダビューなど全48室。さらに一口サイズの軽食やアルコールもいただけるゲストラウンジ、客室の冷蔵庫内のフリードリンクなど、うれしいサービスも用意します。

▲教室をコンバージョンした「スーペリアキング」

窓の大きさや天井の梁に教室だったころの面影が残る客室です。インテリアはベージュやグレー、白、黒を使った落ち着いた色使い。客室からの眺望は中庭や清水寺など、部屋の向きによってことなります。

▲シモンズの幅200cmのキングサイズベッド

カーペットのデザインは京都の町屋の瓦屋根がモチーフ。家具はすべて客室に合わせて制作されたオリジナルで、クラシックなデザインが素敵です。

▲洗面は、ほとんどの客室でダブルベイシンを採用

バスルームからはベッドルームと窓が見える間取りです(客室により異なります)。アメニティはひとつずつ箱に入り、引き出しに収納しています。

▲洗い場のあるバスルームには、据え置きタイプのバスタブとレインシャワーをそなえます