メイ・マスク、72歳、現役モデル。食生活コンサルタントとして働く傍らモデルの仕事を行い、59歳で白髪にしたことを契機にトップモデルになった。

プライベートでは3人の子どもと12人の孫に恵まれた。長男は宇宙事業関連のスペースXや電気自動車関連のテスラなどを経営する世界的に有名な起業家のイーロン・マスクだ。

そんな彼女の「#ItsGreatToBe72」(72歳って最高)のハッシュタグとともに更新されるInstagramの写真は、凛としていて、惚れ惚れしてしまう。

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Woman type読者は20~30代の女性が中心。カリフォルニアに住む彼女とのオンライン取材冒頭でそう伝えると、「分かるわ、ハードな時期よね」と一言。

聞けばメイさんの20~30代は、「自信も自己肯定感も打ちのめされる、惨めな日々だった」という。

夫からのDV、離婚、シングルマザーとしての子育て。さまざまな苦難を乗り越え、自信たっぷりに、毎日をハッピーに生きる彼女が送る、ハートフルなメッセージをお届けする。

20~30代は「誰とでも仲良くしよう」と考えてしまう時期

20~30代は、女性にとって本当にハードな時期だと思います。なぜなら人生におけるレッスン期間だから。立ち振る舞いを学んでいる最中だからこそ、悪い状況に置かれても我慢してしまうんですよね。

例えば3日間のモデルの仕事があるとして、そこで関わる人がすごく意地悪であっても、今の私なら「3日だけだし、別にいい。この先はこの人と関わらないことにしよう」と割り切れます。

食生活コンサルタントの仕事でも、ずっと不満を言っている患者さんに対して、「そのままではあなたはずっとハッピーになれない。改善する気がないのであれば、もう教えるのを辞めます」とお断りをします。

私も忙しいですし、自分にとってマイナスな人に時間を費やして、惨めな気持ちにはなりたくないですから。

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オンライン取材当日に更新されたインスタグラム

でも、同じことを若い頃にもできたかと言われると、少なくとも私にはできませんでした。

20~30代って、誰とでも仲良くしようと考えてしまう時期だと思います。身近に嫌な人がいたとしても、「何とか付き合っていかなければ」と我慢してしまう。

自分にとって相手の存在がストレスなのであれば、本当は距離を置いたり逃げたりした方がいいのに、それがなかなかできないんですよね。

 

21歳で結婚して始まった、地獄の日々

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悪い状況から抜け出す技は、年齢とともに身に着くもの。私自身の20~30代を振り返っても、本当にひどい毎日だったのにも関わらず、随分と我慢をしてしまっていました。

私は21歳で結婚し、23歳からの3年間で3人の子どもを産んでいます。特に出産は全く私のプランにはなかったこと。まさに一晩で人生が変わってしまった(笑)

それからはとにかく忙しい日々でした。当時の夫の仕事を手伝ったり、子どもたちに食事を食べさせたり、お風呂に入らせたり。

そして同時に、夫からの暴力や暴言に耐え続ける、地獄の日々でもありました。

「醜い」「馬鹿だ」「つまらない人間だ」と言われ続けて、何度も打ちのめされてきました。そんな生活が10年続き、自信も自己肯定感も、全て失ってしまって。

このままでいいのだろうか。そう考え始めたのは、子どもたちが学校に通うようになった頃。少し自分の時間ができ、考える余裕ができたことで、ようやく子どもを連れて家を出ることを決意します。

そこから、私の人生は大きく変わりました。

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3人の子どもたちと

どうにか夫から逃げるために、まずは南アフリカのプレトリアからダーバン(距離間約630km)へ、3人の子どもとともに引っ越し。

私は大人になってから8つの街に住みましたが、引っ越しは毎回、本当に大変です。新しい土地で仕事も人間関係も、全てゼロから始めなければなりません。

特にこの時は土地のことはおろか、どうやって生きていけばいいのか、全く分かりませんでした。当時は本当に貧しくて、外食や映画どころか、子どもたちの制服すら買えない状態で。

それでも、すぐに私の行動には価値があったと確信したんです。なぜなら、全然気持ちが惨めじゃなかったから。

その後も離婚が成立するまで、夫に怯える日々は続きました。でも、少なくとも「地獄の日々がずっと続く」という、何の希望もない状況からは抜け出せたわけです。