3.傷ついたインナーチャイルドを抱えていたAさんの話
- Aさんのプロフィール
- ・年齢:35歳
・職業:フリーイラストレーター
・家族構成:夫・娘(小4)・息子(小1)
フリーイラストレーターのAさんは、2児の子を持つワーママ。絵に描いたように幸せそうな4人家族ですが、かつてのAさんは、傷ついたインナーチャイルドを抱え暗いトンネルの中をさまよっていました。
Aさんに一体何が起こっていたのか?Aさんの話をうかがっていきましょう。
(1)「男じゃないとダメなんだ・・・。」そう感じた幼少期
私は、経営者家庭の長女として生まれました。
周囲は跡取り息子の男児を切望していましたが、生まれてきた子は3人とも女の子・・・。それに対し両親が色々言う場面は見たことがありませんが、周囲の声(祖父母や親戚)は私達3姉妹にもハッキリと届いていました。
例えば、お正月などの集まりで「次は男の子を産まないと。」と言う祖母。フォローのつもりなのか?親戚のおじさんやおばさんは、「大丈夫よ!〇〇ちゃん(私)が、立派なお婿さん連れてくるから!」など、「男の子が必要なんだ。」という意識は、当時年長くらいの私にどんどん刷り込まれていきました。
このような状態に加え、家のすぐ隣には祖父母の家がありました。母親は毎日干渉され、かなり抑圧されていたと思います。
そのせいか?私の母はいつもイライラしていました。特に長女の私には厳しく、妹達が許されることでも私は許されないのが当たり前。怒られた経験が色濃く残る幼少期で、
- 汚れた雑巾で顔を拭かれる
- お風呂に顔を沈められる
- 掃除機の柄で叩かれる
など、暴力を受けた記憶が鮮明な映像として脳裏に焼き付いています。今思えば、完全に虐待ですよね・・・。
(2)「跡継ぎになる。」ピエロになった小学生~大学生時代
こんな幼少期を過ごしていたので、私は無意識に「親を喜ばせること」を覚えました。跡継ぎになると言えば親が喜ぶと思い、聞かれてないのに「私が会社を継ぐ!」と小学生の頃から宣言。両親が「それは頼もしいなぁ!」と機嫌が良くなるので、私も嬉しかった記憶があります。
そして時は経ち、自分の進路を考える時期になりました。私は絵を描くことが大好きだったので、本当は美術関係の進路に進みたいと考えていたんです。でも、それを言う度に母親の猛攻撃に合いました。
- 「あんたの絵なんか大したことない。」
- 「もっとすごい人が数えきれないほどいる!」
- 「絵で生計を立てるなんか無理に決まってる。」
- 「あんたにできっこない。」
そんな言葉の嵐だったので、私は考える余地もなく家業に関係のある学部に進学しました。
ちなみに、私達3姉妹は全員家業と同じ学部に進んでます。いや進まされているんです・・・。きっと、誰か1人でもその学部で恋愛をして、婿養子を連れて帰ってくることを期待していたのでしょう。
(3)逃げるように結婚。しかし、子育てで行き詰る日々
大学生活を経て就職した会社は、家業にも関係がある安定企業。私がそこで修行して帰って来ることを両親は望んでいたと思います。
でも、興味も適正もない仕事をこなす日々に苦しめられました。鬱のような状態になり、半ば逃げるように結婚、出産をしたんです。
でも、母になってからも私は苦しむことになりました。
自分が幼少期に両親にされた言動を、子ども、特に長女にしてしまっていたんです。
暴力こそないものの、
- 「〇〇ちゃんはできるのに、なんであなたはできないの!?」
- 「△△できないなら、もうあなたのことは知らない、育てない!」
など、条件付きの愛になっている自覚もありました。
感情的に叱った後はいつも激しく後悔するのに、また同じことの繰り返し・・・。仕事もうまくいかない、子育てもうまくいかない、「私は人間として失格だ・・・。」幼少期のしがらみから未だに逃れられない自分を呪いました。
いかがでしょうか?幼少期の辛い体験が原因で、Aさんのインナーチャイルドが傷ついてしまったことは明白ですね。
でも、現在のAさんは違います!こうして自身の体験を堂々と話し、イラストレーターとして自分の「好き」を仕事にしています。一体Aさんはどのような方法でインナーチャイルドを癒し、イキイキとした新しい自分を手に入れたのでしょうか?次で詳しくみていきましょう。
4.インナーチャイルドを癒す方法
インナーチャイルドを癒すには、「子どもの頃を思い出して遊ぶ」または、「過去を振り返って感情を吐き出す」という作業がおすすめです。
インナーチャイルドを癒すと、自分の思いや行動を知らず知らずのうちに制御してしまっていた状況から解放され、活き活きとした気持ちが沸いてきます。
では、具体的にどのようにしてインナーチャイルドを癒していくべきか説明します。
まずは、子供の頃を思い出して遊ぶという方法。
子供のときに我慢したお菓子やおもちゃを大人買いしたり、気が済むまで好きなことで遊んでみたり。
この行動により、「できなかった/我慢していたことができるようになった」と気づけます。
- インナーチャイルドの癒し方①子供のように遊ぶ
- 我慢していたおもちゃを買う
- 食べたかったお菓子をまとめ買いする
- 気が済むまで遊んでみる
次に、感情を吐き出す方法についてですが、
書く
話す
上記の方法を行いましょう。
Aさんは自分のインナーチャイルドを癒すために、幼少期から現在の自分をノートに書きだして振り返ったそうです。その数、何と3冊分!
やり方は次の通り。とても簡単なので試してみましょう。
- インナーチャイルドの癒し方①感情を吐き出す
- 自分の抑圧されている感情をバーっとノートに書きだす
- きちんとした文章ではなく、殴り書きや断片的な気持ちだけを書いても良い
- 怒り・悲しみ・つらさ・我慢していること・本当はこうしたい!など、徹底的に書ききる
最初のうちは手が追いつかないほどのスピードで書きなぐり、時には涙を流しながらノートに感情をぶつけること1年以上。Aさんはノートが3冊目に突入した時、「あれ、書く内容がない・・・。」という心境に至ったそうです。
この頃には、自分がこれからそんな生き方をしたいのか?そのためには、どのような行動をとればいいのか?霧が晴れたようにクリアになり、「好きだったイラストの仕事をしよう!」と一大決心。クラウドソーシングを利用して、イラストレーターとしての道を歩み始めています。
「封印していた自分の気持ちを解き放つ」これこそが、インナーチャイルドを癒すはじめの一歩なのです。